裁量労働制の見直し焦点=働き方改革、高市首相が方針表明



高市早苗首相は20日の施政方針演説で、裁量労働制の見直しを検討する考えを明らかにした。働き方改革の議論が進む厚生労働省の審議会で、焦点となる見通しだ。裁量制は仕事の進め方や時間配分を自らの判断で決められる仕組み。柔軟な働き方が可能となり、業務を効率的に進めやすくなる一方、働き過ぎに陥るとの懸念もつきまとう。

労使の意見は割れている。昨年末の同省審議会で、経済界側委員の一人は「国際競争力を維持・向上させるには、自律的な働き方を広げて労働生産性を高めることが重要だ」と主張した。

裁量制適用の労働者は現在2%未満にとどまる。適用対象は研究開発など20の職種や企画・調査業務に限られ、経団連は対象を労使合意で柔軟に決められる仕組みを求めている。

労働者側は長時間労働を助長しかねないと危惧する。連合の芳野友子会長は19日の記者会見で「命と健康に悪影響を及ぼすリスクがあり、断固反対だ」と強調した。

裁量制の賃金は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ労使で決めた「みなし労働時間」に基づき支払われる。ただ、厚労省調査によると、実労働時間は「みなし」より1日平均50分程度長いのが実態だ。現場の労働者からは「残業代逃れの手段だ」と懐疑的な声もある。

労働時間規制で残業の上限は月100時間未満と定められているが、裁量労働の場合は「みなし時間」が適用される。業務をこなすため実際の残業が規制を超えても違法とならない点に着目し「働かせ放題」との批判も根強い。

高市首相の方針を受け、裁量制の見直し議論は加速が予想される。ただ、業務時間の適正管理は労働者側にとって重大関心事項の一つ。労使の溝は深く、決着は見通せない。

〔写真説明〕20日、国会で施政方針演説に臨む高市早苗首相(EPA時事)

2026年02月22日 08時32分


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