
企業のインターネット広告費をだまし取る「アドフラウド」の国内の被害額が2025年は1592億円に上ったとの推計を2日、「スパイダーラボズ」(東京)が公表した。前年比82億円の増加。人工知能(AI)による広告配信が急拡大する中、広告費の不正取得を目的に作成された粗悪なサイト(MFA)を優良な掲載先と判断し、配信を続ける「AIの死角」が突かれているという。
アドフラウド対策ツールを提供しているスパイダーラボズが、ネット広告に対する60億超のクリックを分析。この結果、「ボット」などを使って広告を閲覧したように見せかける偽装クリックが4.81%含まれていた。不正の発生率は前年から0.3ポイント低下したが、被害額はネット広告市場の拡大に伴い増加した。
同社によると、AIによる広告配信は数年前から急速に広がっている。掲載先を瞬時に選択し、膨大な量の広告を効率的に配信できるため利便性が高く、ネット広告で主流の「運用型」に占めるAI配信の割合は25年が35%、28年には68%に達する見通しだ。
AIによる配信の仕組みは複雑で、企業側が広告の掲載先を詳細に把握するのは困難。こうした中、広告費の不正取得だけを狙った悪質なサイトが横行している。ゲームや口コミのまとめなど一見よくあるサイトだが、人の目で見ると、説明文などは粗雑で不自然さが目立つ。中身を読もうとすると、ほとんど広告で占められるサイトもある。ただ、こうしたサイトでもボットによる機械的なクリックが積み上がることで、AIは「成果の出る優良サイト」と誤って「学習」し、広告の配信をさらに増やしていくという。
MFAサイトは生成AIで量産されており、25年に同サイトに表示された広告は、同社が検知した範囲で10億1900万件と前年の14倍に激増。これにより被害額は5.3倍の4億2000万円余に膨らみ、うち6割(2億6000万円)がAI配信による広告費とみられる。
また、同社によると、最近はスマホ向け縦型動画広告のアドフラウド被害も増えている。25年の不正発生率は12.79%と全体の平均を大きく上回り、パソコンからの機械的なクリックがショート動画系SNSやメッセージアプリ系の広告に集中していたことも判明した。
MFAサイトは匿名での運営が可能で、アドフラウドの主体や資金の流出先を特定するのは極めて難しい。このため、スパイダーラボズは被害を防ぐ対策として、不正クリックを検知・遮断することに加え、AIに正しい情報を学習させて広告配信の精度を高めていくことが広告主側に求められるとしている。
〔写真説明〕企業の広告費がターゲットに(イメージ)
2026年04月02日 11時20分