
【シドニー時事】ニュージーランド(NZ)のラクソン首相(国民党党首)率いる保守連立政権にきしみが生じている。近くインドと締結する自由貿易協定(FTA)を巡り、与党の一角のNZファーストが「多数の移民流入につながる」と強く反対しているためだ。11月の議会総選挙をにらみ、NZファーストには独自色を出したい思惑があるようだ。
中道右派の国民党は2023年の総選挙で単独過半数に届かず、保守系のACT党、NZファーストと連立を組んだ。国民、ACT両党は対印FTA推進の立場で、「経済成長に資する」と主張。トランプ米政権の高関税措置を踏まえ、輸出先の多角化を進める考えだ。
一方、NZファーストは、FTAにインドからの移民・留学生の受け入れ緩和や、200億米ドル(約3兆2000億円)の対印投資が盛り込まれたことを問題視。党首のピーターズ外相は「恥ずべき売国行為だ。わが党は反対を貫く」と造反姿勢を鮮明にした。
NZでは物価高騰や住宅不足を背景に移民の流入制限を求める声が強まっており、NZファーストは総選挙でこうした不満の吸収を狙う。ジョーンズ副党首は勢いのあまり、移民をインドカレーの定番に例えて「バターチキンの津波が押し寄せるのは認められない」と発言。他党やインド系住民から「差別的だ」と猛反発を浴びた。
ラクソン氏は「協定への反対はNZを貧しくする」と一蹴し、締結を断行する構え。NZファーストが反対を続けても、中道左派の野党・労働党が協定を支持しているため、批准に必要な過半数を確保できる公算だ。
〔写真説明〕ニュージーランドのラクソン首相=3月19日、ウェリントン(AFP時事)
2026年04月26日 08時04分