
高市政権で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に国内金融資産への投資拡大を促す案が浮上している。市場では、急速に進む長期金利上昇や円安の抑制を狙った政権による「口先介入」(大手証券)との見方も出ている。
片山さつき財務相は10日の記者会見で、「GPIFをはじめとする年金基金による日本の金融資産へのさらなる投資を後押しする方策を追求したい」と発言した。具体案は語らなかったが、海外に投じられている資金が日本国債などに振り向けられるとの思惑から、直後には為替が円高に振れ、長期金利が低下する場面もあった。
ただ、市場では「すぐに実現できるかは懐疑的」(資産運用会社)との声が上がる。GPIFは現在、290兆円超の資産を国内外の債券と株式に約25%ずつ分散投資する基本ポートフォリオ(資産構成)を採用している。決めるのは専門家からなる経営委員会で、被保険者の利益以外を考慮することは禁じられている。景気や為替対策といった政権の思惑で見直すのは難しいとされる。
14日の会見で片山氏は、基本資産構成について「不磨の大典でもなんでもない。成長戦略を強力に推し進めれば円資産は有利になる」と指摘。環境変化を理由に修正は可能だとの認識を示した。一方、GPIFを所管する上野賢一郎厚生労働相は「現在の運用環境は想定から大きく乖離(かいり)しているとは考えていない」と慎重姿勢で、温度差がうかがえる。
足元の円安や金利上昇には、高市政権が掲げる経済政策に伴う財政悪化や、インフレ加速への懸念が背景にある。仮にGPIFの運用を見直せても「財政悪化という根っこは変わらない」(国内証券)と効果は限定的とみる向きも少なくない。
〔写真説明〕年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のロゴ=東京都港区
2026年07月15日 07時24分