「米中AI対話」始動=危機管理、双方に思惑も



【ニューヨーク、北京時事】米中両政府は20日、人工知能(AI)の危機管理を巡る「米中AI対話」について初めて閣僚級で協議した。24日の首脳会談を前に、米側は国家安全保障上の重大事故を相互に知らせる通報制度を提案し、対話の窓口を確保することでは一致した。ただ、ハイテク覇権を争う二大国の相互不信は根深く、実効性のある安全網になるかは不透明だ。

ベセント米財務長官は協議後、AI対話について「共通の目標と脅威」に関する認識を共有したいと強調した。中国側は「率直で踏み込んだ建設的な意見交換」(国営新華社通信)と評価したが、通報制度の是非には触れていない。

米中首脳は5月の北京会談でAI対話の設置を決めたものの、AI開発競争を巡る応酬が溝を深めてきた。米国製の高性能モデルの出力を中国製モデルの訓練に使う「蒸留」問題で対立。米側は、中国勢が安価に提供する改変可能な「オープン型」AIの普及に警戒を強めている。

重大事故の定義や情報開示の範囲に関する今後の協議は難航が予想される。米側は、サイバー攻撃が安保上の脅威となるなど、猛追を仕掛ける中国側の出方が「不透明」(ベセント氏)な状況が続くのを避けたいのが本音。対中半導体規制といった自国に有利な競争条件を守りつつ、事故や悪用防止に絞った実務協議を優先したい考えだ。対する中国は、技術力の詳細を把握されれば対中圧力の口実にされかねず、米主導のルール形成に身構える。

中国政府に政策提言する清華大学のシンクタンク「戦略・安全研究センター」の達巍主任は、米中関係を「改善なき安定」と分析する。AI対話も、対立の火種を残したまま関係悪化を防ぐ危機管理の性格が強い。事故通報を相互の信頼醸成に使うのか、相手国への規制や制裁の材料とするのか。対話の成否は、互いの手の内をどこまで明かせるかに懸かる。

2026年09月21日 19時02分

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