米、銃規制法成立へ=乱射多発、効果に限界も



【ワシントン時事】米上院は23日、度重なる銃乱射事件を受け、銃規制強化法案を賛成多数で可決した。下院審議を経て近く成立する見通しで、連邦レベルの銃規制法としては1994年の「ブレイディ法」以来となる。上院採決では野党共和党の一部も賛成に回ったが、銃規制に慎重な同党に配慮して強力な措置は見送られ、効果には限界も指摘されている。

南部テキサス州の小学校で児童19人と教員2人が犠牲となった銃撃事件などを踏まえ、対立する与野党が歩み寄った形だ。バイデン大統領は23日の声明で「28年間何もしなかった議会が、家族の声に耳を傾けた。この法案で子どもたちはより安全になる」と歓迎した。

法案は21歳未満の銃購入者について、犯罪歴や精神疾患の記録を調査する期間を設けると規定。また、脅威と見なされた人物に銃を持たせない制度をつくる州に、財政支援を行う。メンタルヘルスケアの拡充や、学校の安全対策強化も盛り込んだ。

しかし、バイデン政権が目指した殺傷力の高い銃の販売禁止や、銃購入年齢の21歳への引き上げといった厳しい措置は含まれず、抜本的な規制にはほど遠い。共和党支持層には「武器の所持は国民の権利」という意識が根強く、トランプ前大統領は「人々から銃を取り上げる第一歩だ」と規制への反対を呼び掛けていた。

保守派判事が多数派を占める連邦最高裁は23日、銃の携帯を規制する東部ニューヨーク州の法律を違憲と判断した。同様の規制を設けている他の州も対応を迫られるとみられ、銃犯罪増加を懸念する声も出ている。11月の中間選挙に向け、銃規制の在り方をめぐる議論が活発化しそうだ。

〔写真説明〕23日、米南部ジョージア州アトランタの銃販売店に並ぶ散弾銃(EPA時事)

2022年06月24日 14時19分


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