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接待攻勢、放送行政に狙い=深まる疑惑、距離置く菅首相



菅義偉首相の長男らによる総務省幹部接待問題は、同省側の関係者が12人へと拡大した。放送行政の担当者を対象に広範囲に接待攻勢を掛けていた実態が浮き彫りになり、政府・与党に危機感が広がる。野党は首相の「威光」を背景に行政がゆがめられた可能性があるとみて追及し、首相は問題と距離を置く姿勢に終始した。

◇重要会合、長男が同席

総務省の22日の発表によると、放送関連会社「東北新社」の役員らと同省幹部の会食は2016年7月から昨年12月まで延べ38件。12人はいずれも接待当時、放送行政の担当者かその経験者だ。局長級以上との会食の多くには首相の長男が同席している。

会食の趣旨は大半が「懇親会」「新年会」「暑気払い」「忘年会」。接待額最多は放送分野を担当する事務方ナンバー2の谷脇康彦総務審議官で、4回の飲食費やタクシー代、土産代を含む総額12万円弱は同社が支払った。昨年10月に東京・日本橋人形町で開かれた「意見交換」は、1人当たりの単価が最高の約4万7000円に上る。

放送行政を所管する情報流通行政局長を更迭された秋本芳徳氏は回数が最多の7件、総額10万円強だ。

12人と別に、首相が内閣広報官に起用した山田真貴子氏は19年11月に東京・虎ノ門で同社社長や首相の長男らと会食し、費用約7万4000円は社側が負担した。当時の山田氏は総務審議官で、情報流通行政局長の経験もある。

谷脇氏と吉田真人総務審議官は22日、衆院予算委員会に初めて出席し、「国民に疑念を抱かせたことはおわびしたい」などと陳謝。一方で、放送事業の許認可に関する質問には木で鼻をくくったような答弁で応じた。

谷脇氏は長男らが「利害関係者」に該当するとの認識があったかどうかについて、実務経験がないことを理由に「なかった」と説明。吉田氏も「認識がなかった」と述べた。総務省から政界入りした立憲民主党の奥野総一郎氏は「『放送のプロ』が知らないとは到底信じられない」と反発した。

◇野党、「衛星使用料」追及

立憲の本多平直氏は衛星放送業界の「一番の要求」が衛星使用料の引き下げだとした上で、谷脇、吉田両氏が接待を受けた後の昨年12月に「総務省も引き下げに積極的に関与する」との報告書がまとめられたと指摘した。谷脇氏は「詳細は承知していない」と答弁。会食時の様子として「料金低減の要望があった記憶はない」と語った。

野党は首相と東北新社の関係も取り上げた。首相は、創業者とは懇意にしていたが、入社決定後に長男から報告を受けただけだと説明。入社時に「総務省とは距離を置いて付き合うように」と注意したと明らかにした。また、総務省の調査結果には「驚いた」と述べたが、長男に事実関係を直接聴くよう迫られると拒否した。

首相は22日の自民党役員会で、「息子の件で迷惑を掛けている」と陳謝した。自民党の参院幹部は「これだけ接待され、見返りが何もないわけがない」と指摘する。

野党は勢いづいている。立憲の福山哲郎幹事長は記者団に、総務省幹部が接待を受けた「最大の要因は首相の長男だ」として、引き続き国会招致を求める考えを強調。共産党の小池晃書記局長は記者会見で「問題の闇は極めて深い」と訴えた。

〔写真説明〕長男の総務省幹部接待問題で陳謝する菅義偉首相(中央)=22日午後、国会内

2021年02月22日 20時58分


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