「コメ不足なのに買わず」=トランプ氏、車に続き日本に圧力―相互関税期限まで1週間



【ワシントン時事】トランプ米大統領は6月30日、「日本は深刻なコメ不足が生じているのに米国からコメを買おうとしない」とSNSで不満を示した。自動車分野での巨額の対日貿易赤字を「不公平だ」と述べたのに続き、日本にコメ市場開放の圧力をかけた。

米政権による貿易相手国・地域を対象にした相互関税は、上乗せ税率の一時停止期限である7月9日まで残り1週間となる。米政府高官からは期限延長を示唆する発言が相次ぐ一方、上乗せ分が復活する可能性も残る。トランプ氏は各国に対して書簡で新たな関税率を突き付ける構えで、期限を前に揺さぶりを強めている。

トランプ氏は直近にも自動車の対日貿易赤字に不満を表明した。日本が見直しを再三求めている25%の自動車関税の継続をちらつかせ、米国産原油などの輸入拡大を呼び掛けた。「各国がどれだけ米国に甘やかされているか見せつける。日本に書簡を1通送るだけでいい」と畳み掛けた。

トランプ氏は日本のコメ政策について「700%の関税を課している」と持論を展開し、米国産の輸入拡大を繰り返し求めてきた。日本が受け入れれば、参院選を前に自民党支持層のコメ農家の離反につながりかねない。

相互関税を巡っては、米政権は4月以降、7月9日までの90日間で各国と交渉をまとめることを目指してきたが、包括的な合意に至ったのは英国のみ。国益が複雑に絡み合う関税協議は進まず、ベセント財務長官は6月、「誠意をもって」交渉を進める貿易相手には期限延長を認める考えを示唆した。

だが、トランプ氏は「期限を延長することも短くすることもできる。私は短くしたい」と強調する。貿易赤字の削減に向けて譲歩を引き出す構えで、米ホワイトハウス高官も「トランプ氏は延長は必要ないと考えている」と説明。日本側が期限までに望みを懸ける閣僚協議が実現する保証はない。

カナダに対しては唐突に交渉打ち切りを宣言した。カナダ政府は関税が引き上げられる事態を回避するため、米政権から米IT大手を標的にした不当な税制だと非難された「デジタル課税」の撤回を余儀なくされた。

ベセント氏は7月9日までに「10程度の国と合意する」との見方を示し、インドとの交渉は最終段階にある。同氏は6月30日に米テレビ番組に出演し、「誠意をもって交渉している国もあるが、もし彼らが頑固なために合意できなければ、関税率は戻る」とけん制した。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領=6月27日、ワシントン(AFP時事) 〔写真説明〕アジア食材専門店で販売されている米国産のコメ=4月8日、ロサンゼルス(EPA時事)

2025年07月02日 07時09分


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