維新、参院選埋没に焦り=都議選で議席ゼロ、社保改革訴え



日本維新の会が参院選(3日公示、20日投開票)に焦りを募らせている。野党同士がしのぎを削る中、埋没を避けようと「痛み」も伴う社会保障改革を公約に掲げ、存在感の発揮に懸命だ。党内には執行部に対する不満もくすぶっており、選挙結果次第では不協和音が顕在化しそうだ。

「何より重要なのは社会保険料を下げること。一丁目一番地で訴えている」。維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は1日、日本テレビ番組で社会保険料見直しを前面に掲げる考えを重ねて示した。

維新は「全国政党化」を目指すが、先の東京都議選で議席を全て失った。通常国会では、石破茂首相と気脈を通じる前原誠司共同代表が主導し、看板政策の教育無償化で政権と合意。2025年度予算の成立に協力した。しかし、世論の支持につながっていない実態を突き付けられた格好で、維新内からは「教育無償化は筋が悪かった」という声も漏れる。

維新にとって、保守色を帯びる参政党が都議選で伸長したことも、参院選を戦う上で気がかりだ。

こうした中、力を入れるのが社会保険料の引き下げ。現役世代の手取りを増やすため、市販薬と成分が似たOTC類似薬の保険適用除外や、高齢者の医療費窓口負担原則3割化など、与党が長年避けてきた課題をあえて正面に据えた。「今だけでなく、子や孫たちのことを考えた政治をしなければならない」。吉村氏は「改革政党」のアピールに余念がない。

維新のお膝元で開催されている大阪・関西万博は全国的な盛り上がりに欠けるなどと懸念されていたが、先月末には総来場者数の累計1000万人突破が発表された。万博の成功は開催を主導した維新の党勢に直結するとも言われており、党関係者は「万博の盛況ぶりは大阪を中心に参院選にも追い風効果だ」と期待する。

維新が参院選で掲げる獲得目標は6議席以上。党内には低過ぎるとの声がある一方、野党間の議席争いも激しさを増すとみられ達成は予断を許さない。馬場伸幸前代表らは党運営などを巡り現執行部と距離を置く。維新関係者は「現体制が盤石になるかごたつくか。正念場だ」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕参院選に向け政策発表する日本維新の会の吉村洋文代表=6月30日、国会内

2025年07月02日 07時04分


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