【ウランバートル時事】モンゴルで日本式高専が設立されたのは、日本の高専で学んだ留学生たちが「母国にも高専を作って技術者を養成すれば、工業立国として発展できる」と考えたからだった。日本人有志の支援も得て、モンゴルに日本式高専3校が2014年に開校。約11年がたち、天皇陛下が9日に「モンゴルコーセン技術カレッジ」を訪問され、元留学生らは感慨深く見守った。
現在は東京都内の会社に勤めるシルネン・ブヤンジャルガルさん(41)が、日本式高専設立の経緯を語った。03年に日本に留学し、1年間日本語学校に行き、04年から佐世保高専、07~11年には千葉大大学院で学び、修士課程を修了した。
千葉大在籍中、東京高専を卒業した先輩のガンバヤルさん(故人)に「母国のために会を作っては」と呼び掛け、日本の高専を卒業したモンゴル人有志らによる「高専クラブ」が08年に設立された。
この活動を知った日本のシニア団体「新現役の会」が共鳴。飲み会の場で「モンゴルにも高専を作ればいいのでは」と意気投合し、10年に「モンゴルに日本式高専を作る支援の会」が結成され、高専設立に向けた活動が本格化した。
その後、両国の関係者の取り組みが実り、14年に「モンゴルコーセン」など3校が開校。ガンバヤルさんは国立科学技術大付属高専、ブヤンジャルガルさんは新モンゴル高専の初代校長をそれぞれ務めた。
23年には地方に高専3校が開校。同国でもそのまま「コーセン」と呼ばれている。ブヤンジャルガルさんは、天皇陛下の高専訪問を「本当に光栄なこと。両国のこのような絆を、日本国民にもっと知ってもらいたい」と語った。
〔写真説明〕日本の高専で学び、新モンゴル高専の初代校長を務めたシルネン・ブヤンジャルガルさん(本人提供)
2025年07月10日 07時10分