
東京電力が原発を稼働させることになれば、2012年3月に柏崎刈羽原発6号機(新潟県)が停止して以来、十数年ぶりとなる。福島第1原発事故以降の商用原発の停止期間としては、最長となる可能性があり、運転員の経験不足が課題となる。
東電によると、柏崎刈羽原発の運転員の約4割が、稼働中の原子炉を運転した経験がない。このため同社では、稼働中の火力発電所に派遣して研修を積ませるほか、シミュレーターなどの訓練施設で技術習得を進めている。また、経験があるベテラン運転員を若手とセットで配置。操作のアドバイスや危険箇所の指導を行っているという。
長期停止していた機器類のチェックも通常の再稼働よりも入念に行う。高温の蒸気を扱うタービン系統などは、再稼働前に蒸気漏れなどが生じないかを確認。事故の際に原子炉圧力容器から内圧を逃す安全弁についても、取り外した上で実際に圧力をかけて正常に動作するかを点検する。東電の担当者は「当然、十数年ぶりなので、手厚めにチェックしている」と強調した。
原子力規制委員会の山中伸介委員長は今月12日の記者会見で、「長期停止の間の人材育成や技術力維持については審査の中でも見ているつもりだが、事業者にもその点は注意深く進めてほしい」と注文を付けた。
〔写真説明〕東京電力ホールディングス本社=東京都千代田区(EPA時事)
2025年11月22日 09時08分