「国策」と東電不信の板挟み=再稼働容認の新潟知事―柏崎原発



新潟県の花角英世知事が、東京電力柏崎刈羽原発(同県)の再稼働を容認した。エネルギー安全保障という「国策」と、県内に根強い「東電不信」との間で板挟みになりながら、重い決断を下した。

花角氏は、国土交通省大臣官房審議官や海上保安庁次長などを務めた元官僚。2018年6月の知事選では自民党などの支援を受け、原発反対を前面に掲げる対立候補を破り初当選した。再稼働に関しては、自らの判断を示した上で県民に「信を問う」とした。

関係者によると、花角氏はエネルギーの安定供給の観点から、現実問題として以前から原発の必要性は認めていたとされる。周囲には「再稼働は国が判断すべき国策にほかならないが、任期中に決着をつける」と覚悟をにじませていた。

官僚出身の知事として、政財界から国策への協力を期待される一方、県のリーダーとして苦悩も抱えた。県民意識調査では再稼働への賛否が拮抗(きっこう)し、分断を招きかねない結果が判明。東電の原発運転に約7割が「心配」と回答するなど、根強い不信感も浮かび、「最近は疲れた様子だった」(県幹部)という。

一方、花角氏は「信を問う」に当たり、判断を仰ぐ相手に県議会を選んだ。これまでは選挙の可能性も否定しなかったことから、原発反対派などから知事選や県民投票を求める声も上がりそうだ。

〔写真説明〕臨時記者会見で柏崎刈羽原発再稼働の容認を表明する新潟県の花角英世知事=21日午後、新潟市

2025年11月22日 08時54分


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