野生復帰目指し、イヌワシ放鳥=動物園生まれは国内初―宮城



国の天然記念物で絶滅危惧種のニホンイヌワシの野生復帰を目指し、かつて繁殖地だった宮城県南三陸町で18日、動物園生まれの幼鳥1羽が放鳥された。動物園で生まれたイヌワシを野生に戻す試みは国内初といい、2028年度までに計3回放ち、定着を図る。

同町では1955年、国内3例目となるイヌワシの巣が確認された。しかし、餌となる小動物を狩るのに適した草地などが激減して個体数も減り、2012年ごろには姿が見られなくなった。全国的にも減少傾向にあるという。

そこで、官民連携のプロジェクトが約10年前に始動。イヌワシが暮らせる環境を取り戻そうと、草地の刈り払いなどを行ってきた。

プロジェクト協議会の鈴木卓也会長(54)は、11歳の時に大空を悠々と飛ぶ姿を目の当たりにし、「町にイヌワシがいることは誇りだった」と振り返る。活動の結果、草地面積は拡大するなどしたが、環境再生だけでは絶滅スピードに追い付けない恐れがあることから放鳥を決断。今年1月からクラウドファンディングで寄付を募ると、2カ月で目標を超える約1500万円が集まった。

今回放鳥したのは多摩動物公園(東京)で3月に誕生した幼鳥。5月に町に移され、かつて巣が確認された翁倉山中の小屋で飼育してきた。

人に慣れさせないため、普段の様子は小屋に設置されたカメラで確認。餌も小さな扉越しに与えて、姿を見せないよう注意を払った。「食いつきなどを直接確認できないことはもどかしく、難しかった」と言うのは飼育担当の穂刈裕一さん(26)。成長に合わせて、餌はウズラやキジ、ウサギなどを用意した。「町に来た頃より活動量も増え、少し飛べるようにもなった」と話す。

幼鳥は18日午前9時15分ごろ、小屋の扉が開けられると、間もなく力強く飛び立った。穂刈さんは「無事に飛び立って、ほっとしている。外の世界に慣れて野生で生き抜いてほしい」と話した。鈴木会長も「イヌワシの絶滅回避につながってほしい」と語った。今後も背中に取り付けた発信器を頼りに、離れた場所から双眼鏡などで見守るという。

〔写真説明〕小屋から飛び立つニホンイヌワシの幼鳥(南三陸イヌワシ野生復帰プロジェクト提供)

2026年06月19日 15時59分


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