「困った人という眼鏡で見ないで」=障害者理解、なお道半ば―相模原殺傷10年



相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件は、26日で発生から10年。知的障害者とその家族らで構成する「全国手をつなぐ育成会連合会」の佐々木桃子会長(68)は、障害者への理解が事件を機に社会に十分に浸透したとは言い難く、「(障害者を)困った人という眼鏡で見ないで」と訴える。

政府は2023年2月、全国の18歳以上の男女3000人を対象とした世論調査の結果を発表。この中で、「障害を理由とする差別や偏見があると思う」と回答した人は88.5%に上った。

差別や偏見があるとした人のうち、「5年前と比べて改善されたと思う」と答えた人は58.9%に上ったが、「改善されていないと思う」も40.4%。依然として課題の大きさがうかがえる。

佐々木さんは、外形的に障害の状態が分かりにくいこともあり、知的障害者への理解は「社会に十分に広がっていない」と訴える。その一例として、東京五輪・パラリンピックのメイン会場となった新国立競技場での経験を挙げる。

同競技場では佐々木さんらの要望で、知的障害者らの緊張が高まったときなどに刺激を遮断し、気持ちを落ち着かせるための「カームダウンスペース」が作られた。ただ、当初は必要性が理解されず、「『あの人は何を言っているんだろう』という反応だった」と振り返る。五輪後も公共施設への同スペースの普及は十分に進んだとはいえないという。

事件を巡っては、犯行を正当化する植松聖死刑囚(36)に賛同し、障害者の排除を肯定するような意見も当初、SNSなどで広がった。

佐々木さんは、重度知的障害者は言葉による意思疎通が難しくとも、「何らかの意思を発信している」と強調する。障害の特性や関わり方を理解してもらうため、同連合会では全国約100カ所でセミナーなどの啓発活動を続けており、「知的障害者も皆さんと大きく変わらない生活をしていると知ってほしい」と話した。

〔写真説明〕「全国手をつなぐ育成会連合会」の佐々木桃子会長=6月29日、東京都新宿区

2026年07月25日 20時32分


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