
爆発事故で7人が犠牲となったイオンモール熊本(熊本県嘉島町)2階の雑貨店に勤務し、爆発に巻き込まれ死亡した大竹玖瑠美さん(22)=熊本市。「いつも明るくて、人から好かれる、責任感の強い子だった」。親族の男性(51)はそう振り返りながら、施設内に戻って売上金を金庫に保管するよう従業員に指示した雑貨店運営会社「ハビタ」(同市)に「許せない」と憤る。
親族の男性によると、大竹さんは2022年に高校を卒業し、ハビタに就職した。3人きょうだいの長女で、3年前に父親が他界してからは、憔悴(しょうすい)する母親らを精神的にも、家計的にも支えていた。「家族の中心的な存在だった」という。
今回の地震は「やっと家族が前向きになってきたと感じていた」矢先に起きた。7月28日午後4時27分ごろに発生し、大竹さんはイオンの屋外の駐車場に避難。「大丈夫?」と心配する母親からのLINEに大竹さんは「大丈夫」と返信していた。
避難後、駐車場でたまたま居合わせたおばといとこに、大竹さんは会社から売上金を金庫に入れるよう指示があったから店に戻ると伝えた。「危ないから入らない方がいい」と制止されたが、施設内に戻ったという。爆発は同5時50分ごろに起きた。
音信不通となり、母親らは現場に急行した。「とにかく助かってほしい」との一心で救助活動を見守った。だが翌29日午前2時ごろ、消防から親族の男性に、2階の店舗近くで大竹さんとみられる遺体が見つかったと連絡が入った。
身元確認はDNA型鑑定で行われた。31日夕、警察から大竹さんの遺体と特定したと告げられ、母親らは安置されている警察署で大竹さんと再会。「泣き崩れるどころではなかった」。母親はまな娘の死を前に悲しみに暮れていたという。
ハビタ側は、爆発の約30分前、大竹さんと一緒に屋外駐車場に避難した同僚の女性従業員(25)に対し、イオン側の許可を得た上で店に戻って売上金を1階の金庫に移すよう指示していたことを明らかにしている。この従業員も爆発に巻き込まれ亡くなった。
親族の男性は「ハビタの指示がなければ、(施設内に再び)入ることはなかったと思う」と主張。「戻れるのであれば、売上金を金庫に保管してほしい」と指示したハビタには「業務上の過失がある。人災だ」と語気を強め、「『悔しい』だけじゃ足りない」と唇をかんだ。
〔写真説明〕イオンモール熊本の爆発に巻き込まれた大竹玖瑠美さん(遺族提供)
〔写真説明〕地震の発生後に起きた爆発で建物が激しく損傷、7人が死亡した「イオンモール熊本」=10日午前、熊本県嘉島町(小型無人機で撮影)
2026年08月11日 07時06分