
避難所などの状況をデジタルデータで共有し、支援活動に生かす厚生労働省のシステム「D24H(災害時保健医療福祉活動支援システム)」が、熊本地震で初めて本格運用されている。支援チームが巡回しながら、飲料水やトイレなどの生活環境に加え、要配慮者や発熱者の有無を専用フォームに入力。情報はリアルタイムで共有され、関係機関が活動内容を検討する際の判断材料として活用されている。
阪神大震災(1995年)では被災した医療機関の情報を把握する仕組みが十分ではなく、その後、病院などの被害状況や受け入れ態勢を共有するシステム「EMIS(広域災害救急医療情報システム)」が整備された。一方、東日本大震災(2011年)では自治体や消防、医療機関などがそれぞれ別のシステムで情報を収集していたため、避難所やライフラインを含めた被災状況の共有に時間を要し、支援の遅れが課題となった。
こうした教訓を踏まえ、厚労省は「D24H」を整備した。EMISなど既存システムとも連携しており、避難所や介護福祉施設、道路やライフラインなどの情報を一つの画面に表示。熊本県は、被災地全体の状況を一元的に把握しながら、支援チームの活動計画や物資手配の判断に役立てている。
D24Hの開発に携わり、地震発生翌日から今月2日まで現地に入った芝浦工業大の市川学教授は、「情報収集は円滑に進み、東日本大震災当時と比べると格段に前進した」と評価する。今回の熊本地震では多くの支援チームがD24Hを活用しており、従来のようにチームごとに別々のシステムで情報を集める場面は大きく減ったという。
一方、市川教授は、D24Hの活用方法が一部のチームに十分周知されていないことが課題だと指摘。「利用が広がれば、情報共有は一層円滑になる」と話している。
〔写真説明〕厚生労働省のシステム「D24H」のデータを基に、熊本地震で開設されたある避難所の状況をまとめたリポート(市川学・芝浦工業大教授提供)(一部、画像処理してあります)
2026年08月15日 07時05分