
五輪直前の悲劇に見舞われながら迎えた舞台。複数箇所の骨折を抱えて強行出場した前回北京五輪金メダルの平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=は「この場に立てたことは奇跡的。自分でもびっくりしている」。痛みもある中で奮起し、万全の選手たちと遜色ない驚異的な滑りで決勝に進んだ。
手負いの前回王者がどれほどの力を出せるのか注目された1回目。けがの前に想定していた演技は変更を余儀なくされたが、83.00点をマーク。2回目はさらに上回る85.50点。普段と逆のスタンスで縦2回転、横4回転する「キャブダブルコーク1440」などを鮮やかに決めた。恐怖心とも戦いながら、ミスなく滑り切った。
故障前の昨年12月。スノーボードに懸ける思いを語ったことがある。2025年世界選手権も練習中に左肋骨(ろっこつ)を折って欠場。年齢を重ね、けがと向き合いながら気付いたのは、「今生きている時間が当たり前ではない」。
だからこそ、重傷を負いながらも五輪に挑んだのだろう。「命がけで何かに取り組む姿勢は忘れてはいけない」。近年は技の高難度化が進み、けがのリスクが高まっているハーフパイプ。必死で対応しながら、平野歩は第一線を歩み続けてきた。
2連覇に向け、新技を加えた演技を温めている。決勝で披露するかどうかは、体の状態を考えてから決めるという。「積み上げてきた4年間を信じ、やるべきことをやるだけ」。満身創痍(そうい)でも、闘志をみなぎらせて臨む。
【時事通信社】
〔写真説明〕スノーボード男子ハーフパイプ予選を終え、笑顔を見せる平野歩夢=11日、リビーニョ
〔写真説明〕スノーボード男子ハーフパイプ予選、平野歩夢の2回目=11日、リビーニョ
〔写真説明〕スノーボード男子ハーフパイプ予選、平野歩夢の2回目=11日、リビーニョ
2026年02月12日 16時30分