
国内最多の5万5000人が集まった東京ドームで、全勝同士の日本人対決。かつてないスケールの舞台で、「モンスター」が再び勝ち名乗りを受けた。
互いのパンチが交錯するたびに、どよめきが起きる緊迫した空気。井上尚は体を大きく振るなど巧みに中谷の攻めをいなしつつ、鋭い踏み込みから有効打を重ねた。
手数が増えだした終盤は、パンチをもらいながらも、強烈なアッパーなどを浴びせて押し返した。ジャッジが3人とも井上尚を支持。「きょうは戦う前から勝ちに徹する、勝つのは僕という戦いを実行した」。リング上で満足そうに振り返った。
パワー、スピードとも井上尚が上回るとの下馬評だったが、中谷はリーチが長く技術も一級品。難敵を前に去来したのは、重圧や緊張以上の高揚感だった。まな弟子を見守ってきた大橋会長は試合前「生き生きと楽しそう。決闘に向かうというより、楽しみにしている感じ。悲壮感がない」と話していた。まるで少年のように練習にのめり込んでいたという。
井上尚は前日計量を上限いっぱいの55.3キロでパスした後、「減量を苦に感じないほど試合に対する楽しみがある。減量すらも楽しめた」。33歳となり、なお深まる探究心。「モンスター」の強さは、とどまるところを知らない。
【時事通信社】
〔写真説明〕世界スーパーバンタム級主要4団体統一タイトルマッチの12回、中谷潤人(右)を攻める井上尚弥=2日、東京ドーム
2026年05月02日 23時44分