【ニューヨーク時事】カナダ下院(定数343)総選挙は、28日の投開票まで1週間を切った。世論調査ではマーク・カーニー首相(60)率いる与党・自由党が支持率でリードし、最大野党・保守党が追う展開。高関税政策などを巡ってトランプ米政権との関係が冷え込む中、金融の専門家で国際派のカーニー氏に期待が集まっている。
「トランプ氏はわれわれを破壊し、支配しようとしている」。カーニー氏は17日、東部モントリオールで開かれた党首討論会で、国家の危機を強調。「トランプ氏に立ち向かわなければならない。その準備はできている」と述べ、カナダと英国で中央銀行総裁を歴任した自分こそ米国と渡り合えると、続投への支持を訴えた。
トランプ氏は3月、カナダからの輸入品に25%の関税を発動。米国の「51番目の州」として併合する考えも繰り返している。カナダ国民の反発は強く、今回の総選挙は「トランプ氏に対抗できる候補者選び」の様相を呈している。
自由党政権はこれまで、米国のワインやオレンジジュースなどに報復関税を課した。カーニー氏は3月の就任後、最初の外遊先に英仏を選ぶなど、対米依存の脱却に動く姿をアピールしている。
一方、2015年以来の政権交代を目指す保守党のピエール・ポワリエーブル党首(45)は、25歳で初当選して以来、一貫して下院議員を務める。22年に党首となり、トルドー前政権下で「インフレや住宅不足が悪化した」と批判。有権者の不満の受け皿となり、一時は各種世論調査の平均支持率で自由党に約24ポイントの大差を付けた。
ところが、米政権への対応に有権者の関心が集まるようになると状況が一変。20日時点では、自由党が約5ポイント差で保守党をリードしている。
ポワリエーブル氏は、カーニー氏がトルドー氏の経済顧問だった過去を指摘し「われわれには変化が必要だ」などと巻き返しを図るが、苦戦している。「カナダファースト」を掲げ、対外援助や公共放送の予算削減などを訴えるポワリエーブル氏の政治姿勢がトランプ氏に近いと見なされ、支持拡大への逆風となっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕カナダのマーク・カーニー首相=17日、モントリオール(AFP時事)
〔写真説明〕カナダ最大野党保守党のピエール・ポワリエーブル党首=17日、モントリオール(AFP時事)
2025年04月22日 08時00分