【ソウル時事】韓国の尹錫悦前大統領の罷免に伴う大統領選の投開票が3日、行われ、革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表(60)が当選を確実にした。KBSなどテレビ3社が伝えた。3年ぶりに革新系政権が誕生する。当選確定と同時に就任し、任期は5年。
李在明氏は3日深夜、記者団に「国民の偉大な決定に敬意を表する。与えられた使命に最善を尽くす」と語った。
開票率60.69%の時点で得票率は李在明氏が48.78%、保守系与党「国民の力」の金文洙前雇用労働相(73)が42・48%、保守系野党「改革新党」の李俊錫議員(40)が7・39%となっている。金氏は4日未明、「国民の選択を謙虚に受け止める」と敗北を認めた。
尹氏による昨年12月3日の「非常戒厳」宣言への評価が最大の争点になった。戒厳宣言に端を発した「内乱の収束」と「民主主義の回復」を掲げた李在明氏が優位に戦いを進めた。
李在明氏は前回2022年の大統領選で尹氏に僅差で敗れた。その後、党代表に就き、尹政権を厳しく追及。24年4月の総選挙で国会の単独過半数を確保する大勝を果たした。尹氏の戒厳宣言を巡る弾劾(罷免)を主導し、幅広い支持を集めた。
新政権の前には、低迷する景気の浮揚や「トランプ関税」を巡る米政権との交渉など課題が山積する。戒厳後の政治的混乱の収束や、深まった国民分断の克服も求められる。
李在明氏は、国益中心の「実用外交」を掲げ、米韓同盟や日米韓連携を重視した尹政権の外交基調を維持する姿勢を強調。過去には日本に対する厳しい発言が目立った同氏だが、大統領選では「歴史や領土の問題は原則に基づき、社会・文化・経済の領域は未来志向で発展させていく」と公約した。
期日前投票を含めた投票率は79.4%(暫定値)で、前回(77.1%)を上回った。
【時事通信社】
〔写真説明〕3日、韓国・ソウル近郊の仁川で、大統領選で当選確実となり手を振る革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表(ロイター時事)
2025年06月04日 12時34分