新興ハイテク、日本も照準=富士登山ロボ、ARゴーグルも―海外進出加速・中国杭州



人工知能(AI)新興ディープシーク(深度求索)が本社を置き、ハイテク企業が集積する中国東部・浙江省杭州市。経済成長が著しく、新興企業によるロボットや拡張現実(AR)ゴーグルといった先端技術が盛んに開発されている。国内で事業基盤を固めた企業は海外進出を本格化させており、日本にも照準を合わせる。

◇富士山に登山支援ロボ

人に装着し、歩行などを補助する「外骨格ロボット」の開発を手掛ける程天科技。山登りをサポートする登山支援ロボを8月から富士山に導入する方向で準備を進めている。骨盤付近に取り付けると、センサーで動きを検知し、山道での歩行を補助する仕組みだ。多少の重量は感じるものの、コンパクトで装着しやすく、万里の長城などで使われている。

程天は2017年に事業を開始し、今後3年以内に海外の販売比率を50%に高める目標を掲げる。張継宇最高執行責任者(COO)は「日本は特に重要な市場」と強調。富士山での設置場所など詳細は検討中だが、「50~100台を持って行くつもりだ」と意気込んでおり、日本を足掛かりに世界への普及を目指す。

◇AR技術も日本に

14年設立の霊伴科技は、映画鑑賞やゲームに加え、録音・録画や音声による決済、外国語の自動翻訳機能も備える多機能型ARゴーグルを開発している。「人気漫画『ドラゴンボール』に登場する装置『スカウター』も原型」(投融資担当者)で、工業用途でも使われるという。

海外市場としては米国が最大だが、日本も先端技術を受け入れやすい重要マーケットと位置付ける。博物館への売り込みを計画中で、文化財の説明や関連したストーリーを3次元(3D)でゴーグルに表示する仕組みなどを検討。関連企業と協議を進めている。

◇米中対立で懸念も

四足歩行型ロボや人型ロボが世界的に注目されている宇樹科技にとっても、日本は5番目の市場だ。大学や研究機関で導入され、2次開発も行われている。マーケティング担当者は「(13年の)設立時から海外開拓に力を入れている」と述べ、米アップルも製品を購入したという。

海外事業を巡っては、トランプ米大統領の関税政策による米中対立という懸念もある。霊伴は「(米中対立で)製造コストが上がる事態になれば、国産部品で代替する計画もある」と説明。程天の張氏は「影響がないとは絶対に言えない」としつつ、「米中は競争と協力が併存する関係。まずは当社の競争力強化に尽力したい」と強調した。

【時事通信社】 〔写真説明〕程天科技の登山支援ロボットを装着して歩く女性=6月24日、中国浙江省杭州市 〔写真説明〕霊伴科技の拡張現実(AR)ゴーグル(同社提供・時事) 〔写真説明〕キックボクシングができる宇樹科技の人型ロボット=6月25日、中国浙江省杭州市

2025年07月07日 08時00分


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