「双葉山と戦争」を考える=故郷の大分・宇佐市で企画展―大相撲



大相撲で史上最多の69連勝を記録し、「不世出の横綱」と称された双葉山。その全盛期は、日中戦争の発端となった1937年の盧溝橋事件から日本が泥沼の戦争に突き進んだ時代だった。終戦と双葉山の引退から80年に当たる今年、故郷の大分県宇佐市にある観光交流施設「双葉の里」で企画展「双葉山と戦争の時代」が開かれている。

宇佐市観光・ブランド課が主導で開催。担当の武村未冴さんは「相撲が国技として重視され、その中で勝ち続ける双葉山の姿は、中国大陸などで戦線を拡大する日本軍と重ねられたと言われている」と説明。しこ名の上に「応召」や「入営」と書かれた戦時中の番付などを展示。多くの力士が従軍した。

展示品には「双葉山定次」と署名が入った日の丸への寄せ書きも。贈られたのは、早大相撲部の元主将で、在学中に学徒出陣で海軍飛行予備学生となった村瀬稔さん。45年4月、特攻隊の一員として出撃し、戦死した。武村さんは「力士も戦争とは無関係ではいられなかったことなど、当時の時代背景を考えるきっかけとなってほしい」と企画の意図を明かした。

双葉山は45年11月に引退。終戦とともに土俵に別れを告げた。「昭和の大横綱」の活躍が、国民の戦意高揚に直結する暗い歴史もあった。(当該企画展は8月31日まで)。

【時事通信社】 〔写真説明〕双葉山の生誕地の大分県宇佐市を訪れた白鵬=2010年11月5日 〔写真説明〕村瀬稔さんに贈られた双葉山の署名が入った日の丸(大分県宇佐市提供)

2025年08月13日 12時30分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース