参政党、ねじれ国会で動向焦点=維新が接近、自民は警戒感



参院で15議席を持つ参政党の動向が、ねじれ国会の焦点となっている。与党に協力すれば参院でも「少数与党」状態が事実上解消し、高市政権の安定につながるためだ。日本維新の会が積極的に接近を図る一方、保守の支持層が重なる自民党の警戒感は根強い。

「衆院議員定数削減法案の提出を8日に遅らせてもいい」。維新の藤田文武共同代表は4日、参政の神谷宗幣代表との再会談で、翌5日に予定されていた法案提出の先送りに触れ、共同提出に加わるよう呼び掛けた。神谷氏は具体的な提出時間を尋ねるなど、前向きな姿勢を示したという。

4日の1回目の党首会談では、藤田氏が定数削減法案への賛同を呼び掛け、神谷氏が条件としてスパイ防止法案や「国旗損壊罪」法案への協力を挙げた。この後、両党の幹部を交えて非公開で行われた再会談で、維新側は自民を含む3党の合意文書案を提示。神谷氏が言及した法案について、来年秋の臨時国会までに成立させるとの趣旨が盛り込まれていたという。

藤田、神谷両氏はこれまでも水面下で接触を繰り返し、協力の可能性を探ってきた。衆院では自民が無所属議員を会派に取り込み、与党過半数を確保したが、参院は過半数に6人足りない。参政の協力が得られれば重要法案成立の可能性が高まる。

ただ、自民にとって参政は脅威だ。選挙で保守票を奪い合う相手であり、7月の参院選では強固な地盤を誇った群馬選挙区で肉薄された。保守色が鮮明な高市早苗首相が誕生し、参政の勢いも「落ち着いてきている」(自民関係者)との楽観論も一部にあるが、実績を与えることは「敵に塩を送る」ことになりかねない。

維新・参政会談に自民の姿はなかった。維新幹部は「説得先を手分けした」と説明するが、3党合意案や法案提出先送りは自民側に事前に伝わっていなかった、とみる向きもある。高市政権と距離を置く自民の閣僚経験者は、3党協力について「まるで日独伊三国同盟だ」とけん制した。

参政は党内ガバナンスが引き続き課題だ。梅村みずほ参院議員が週刊誌取材に応じた内規違反を理由にボード(常任役員会)メンバーを解任されるなど、急成長のひずみが露呈する。神谷氏は政権と「是々非々」の立場を強調するが、与党に自らの主張を受け入れさせる「政策実現路線」は求心力を高める一手となりそうだ。

自民、維新は定数削減法案を予定通り5日に提出し、参政は共同提出に加わらなかった。神谷氏は「藤田氏とは信頼関係がある」と話し、なお維新との連携に意欲を示すが、党内に異論もある。2025年度補正予算案や定数削減法案への賛否が政権との距離感を計る指標となりそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕会談に臨む日本維新の会の藤田文武共同代表(左)と参政党の神谷宗幣代表=4日、国会内

2025年12月08日 07時03分


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