連合・芳野氏、続投か交代か=賃上げで成果、かじ取り難しく



労働組合の中央組織、連合の芳野友子会長の2期目の任期満了が10月に迫り、去就に注目が集まっている。政府と協調して賃上げで一定の成果を挙げる一方、政府・与党との距離感には懸念がくすぶってきた。7月の参院選では集票力の低下があらわになり、組織の影響力に陰りも見える。

「2年連続で5%以上の賃上げが実現した」。芳野氏は8月21日の記者会見で、2期目の実績をこう強調した。

2021年10月に女性初の連合会長に就任した芳野氏は23年3月以降、政府と労働界、経済界による「政労使会議」に参加。今年4月には首相との「政労会見」を16年ぶりに復活させた。

与党とも間合いを縮め、3月には連合会長として20年ぶりに自民党大会に駆け付けた。連合内には「政権の賃上げアピールに利用されている」との批判もあるが、芳野氏は「政策実現のため積極的に働き掛けることは重要だ」と意に介さない。

一方、支援する立憲民主党と国民民主党との関係には手を焼いてきた。支持率を伸ばす国民民主は独自路線に傾斜。7月の参院選では産業別労働組合(産別)の組織内候補が軒並み得票を減らし、立民から出馬した私鉄総連の候補は議席を得られなかった。関係者は立民、国民民主に対する連合の影響力が低下しかねないと懸念を募らせる。

衆参両院での与党過半数割れを受けて立民や国民民主の連立入りの可能性がささやかれる中、連合は正念場を迎えている。連立参加は連合が掲げる「二大政党的体制の確立」と矛盾する上、一方が連立に加われば支援政党間の対立が決定的になり、連合の分裂につながりかねないためだ。

芳野氏は「あり得ない」と断言。連合は10月にまとめる参院選総括の原案に「(両党が)与野党に分かれることだけは到底容認できない」と記した。

連合会長は任期2年で、役員推薦委員会が候補者を決めるのが慣例。芳野氏は続投するかどうか問われ、「(同委の)結果を待ちたい」などと述べるにとどめている。ただ、会長候補者が相次いで固辞する中で火中の栗を拾ったとの自負は強く、連合内では「続投する気満々」(関係者)との見方が強い。3選した場合、歴代最多の期数に並ぶ。

連合内では松浦昭彦会長代行の名前も挙がるが、「松浦氏は4年前に固辞したため難しい」(産別幹部)との意見もあり、ほかに衆目の一致する候補者は見当たらない。幹部は「誰が会長になっても難しいかじ取りになる」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する連合の芳野友子会長=8月21日午後、東京都千代田区

2025年09月01日 07時04分


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