【ワシントン時事】トランプ米大統領に近い保守活動家チャーリー・カーク氏の射殺事件で、連邦捜査局(FBI)は容疑者の男を拘束した。男はカーク氏への嫌悪感を持っていたとされ、トランプ氏は犯行が左派によるものだと批判。米社会では政治対立が深まり、「内戦」という言葉が飛び交うほど言説が過激化している。
FBIは12日、米西部ユタ州出身のタイラー・ロビンソン容疑者(22)を拘束したと発表。回収された薬きょうには「おいファシスト!」との文言が刻まれていた。同州のコックス知事は記者会見し、容疑者について「近年、政治的になっていたと家族が証言している」と述べた。
トランプ氏は12日にFOXニュースの番組に出演し、「彼が有罪となり、死刑が執行されることを願う」と強調。容疑者が特定される前から左派の言論が要因で起きた事件だとの批判を繰り返し、同番組でも「問題は極左だ」と主張した。
犯行の動機はまだ明らかになっていないが、米メディアは、政治的主張に基づく社会の分断を一層あおりかねない事件だと警戒感を示す。ニューヨーク・タイムズ紙は事件を機に、SNS上で「Civil
War(内戦)」の言葉が急増していると指摘。実際、共和党のオーデン下院議員はX(旧ツイッター)に「左派がアメリカを内戦に導き、彼らはそれを望んでいる」と投稿した。
これに対し、政治思想を背景に繰り返される暴力の沈静化を求める声も出ている。今年4月に公邸が放火された民主党のシャピロ・ペンシルベニア州知事はXで、「あらゆる政治的暴力を非難すべきだ」と呼び掛けた。
【時事通信社】
〔写真説明〕12日、米西部ユタ州プロボで、射殺された保守活動家チャーリー・カーク氏への連帯を示すTシャツを着て集会に参加する人々(AFP時事)
2025年09月13日 20時31分