利下げペースが焦点に=米FRB、問われる独立性―16、17日にFOMC



【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は16、17日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、金融政策を協議する。雇用情勢の急減速を受け、市場では6会合ぶりの利下げ決定が確実視されており、焦点は今後の利下げペースだ。会合後に公表される政策金利見通しやパウエル議長の記者会見が手掛かりとなる。

利下げを執拗(しつよう)に求めるトランプ大統領は先月、住宅ローン不正疑惑でクック理事の解任を通告。自身に近いミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を、空席だった理事に指名した。FRBの政治的な独立性が問われるさなかで、会合が行われる。

今月発表された8月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比2万2000人増と、市場予想を大きく下回った。月当たり10万人超の増加を示していた春先と比べ、雇用創出の勢いは明らかに失速している。

6月会合の金利見通しでは、0.25%幅で年内に2回の利下げが想定されていた。ただ、最近の雇用悪化リスクを受け、FRBが年内の残り3会合すべてで0.25%利下げに踏み切る可能性が取り沙汰される。トランプ氏は「すぐに大幅利下げを行え」と、それ以上の引き下げを露骨に要求している。

一方、トランプ氏の高関税政策による物価への影響が徐々に表れだした。8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%上昇と、伸びは拡大基調にある。FRB内にはインフレ再燃を懸念し、景気を刺激する利下げに慎重な意見もあり、「高官の間で政策金利動向の想定は一層割れる」(米金融機関幹部)との声が上がる。

トランプ氏の解任通告に対して、クック氏は違法だとして提訴。法律で独立した地位が保障されているFRB理事の解任は前代未聞で、司法判断の行方は金融政策の信認を大きく左右しそうだ。さらに、上院はFOMC直前の15日、ミラン氏を理事に充てる人事案を採決する。政権は任命権を振りかざして、金融政策への影響力拡大を急ぐ姿勢を隠そうとしていない。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領(左)と連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長(AFP時事)

2025年09月14日 07時02分


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