総裁候補、「裏金」起用で足並み=財政政策、高市氏が独自色―自民



自民党総裁選の5候補は23日、共同記者会見を行った。いずれも議員票獲得を狙い、旧安倍派の裏金事件に関係した議員の起用に前向きな姿勢を表明。幅広い支持を得ようと独自色の強い主張は抑制した。わずかに財政政策で、高市早苗前経済安全保障担当相が「カラー」を見せた。

「衆参両院選挙で地元から送り出された重みは受け止める必要がある。人事は適材適所に尽きる」。裏金議員の起用に関する質問に、小林鷹之元経済安保相はこう強調。回答順に従って、高市氏や小泉進次郎農林水産相も次々に「適材適所」と口にした。

派閥裏金事件は深刻な政治不信を巻き起こし、自民を直撃。衆参共に過半数を割り込む主因となった。党内から旧安倍派に向けられる視線はなお厳しいが、同派は現在も約50人を擁す一大勢力。ある陣営の関係者は「まとまって行動するなら無視できない」と漏らす。

実際、小泉氏は選択的夫婦別姓制度の導入に関し「昨年の総裁選で別姓を訴えた。働く女性の人生の選択肢が必要だという思いは変わらない」とした上で、「自民も野党も案がまとまらなかった。国民的な理解、与野党のコンセンサスの努力が必要だ」と慎重な姿勢を示した。保守系議員が多い旧安倍派を意識しているのは明白だ。

各候補が打ち出している物価高対策の財源も論点となった。茂木敏充前幹事長は「赤字国債の発行は慎重であるべきだ。日本の財政状況が内外から不安視されないよう適切な財政運営に努める」と指摘。小林氏と林芳正官房長官も同調した。小泉氏は「税収増の活用や歳出改革も含めて柔軟に検討する」と明言しなかった。

これに対し、高市氏は「責任ある積極財政で名目成長率が金利(上昇)を上回る状況をつくり、財政を健全化していく」と反論。「物価高対策として必要があれば国債発行もやむを得ない」と述べた。

ただ、連立政権の枠組み拡大に向けた野党との連携や物価高対策の具体策、外交・安保といった論点では大きな違いは見えなかった。党関係者は「極端な主張は党内中間層に受け入れられないから、穏健な主張に落ち着いている」と解説。別の関係者は「安全運転で党員や一般の有権者にどこまで響くか分からない」と漏らした。

【時事通信社】

2025年09月24日 07時03分

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