立民・国民、政策実現に焦り=野党公明にも危機感



自民党と日本維新の会が連立政権樹立で合意したことを受け、立憲民主、国民民主両党は「政策実現の道が閉ざされかねない」と焦りを募らせる。野党として党勢回復を期す公明党も、自維が衆院比例代表を念頭に議員定数の1割削減で合意したことに危機感を強めている。

「自民との綱の引き合いだったが、敗れてしまった。残念だ」。立民の野田佳彦代表は20日、党本部で記者団に対し、首相指名選挙で連携を呼び掛けていた維新の与党入りに肩を落とした。同時に、新政権に早急な物価高対策や「政治とカネ」の問題での対応を強く迫る考えを強調した。

ただ、自維政権に要求をのませるハードルは、自公の少数与党政権時よりも上がったと言える。自維の衆院会派は計231議席で、参院会派では計120議席。それぞれ過半数まで衆院で2議席、参院で5議席まで迫る。少数会派の一部は既に新政権に協力する姿勢を見せており、立民や国民民主の協力が必ずしも必要とは言えない状況となりつつある。

立民と公明は20日、政調会長会談を実施。野田氏は「中道」をキーワードに国民民主も交えて協力の枠組みをつくり、新政権へ圧力をかけたい考えだ。ただ、国民民主は「立民と政権を共にすることはできない」(玉木雄一郎代表)と距離を置く。立民内では「野田氏はこの1年、何をしていたのか」(中堅)といら立ちの声が上がる。

一時は自民の連立相手の有力候補だった国民民主内では「自民単独政権ができた方が政策をのませやすかった」(幹部)と落胆の声が漏れる。

玉木氏は神戸市で街頭演説し、自維が合意した議員定数の1割削減に苦言を呈する一方、「政策本位で高市氏にも維新にも協力していく」と秋波を送った。

公明は「最悪の展開」(関係者)と危惧する。公明の政権離脱が自維急接近の「呼び水」となり、連立合意に議員定数1割削減が明記されたためだ。

公明は党勢の退潮を踏まえ、衆院小選挙区よりも比例代表をより重視する方針。斉藤鉄夫代表は日本外国特派員協会で記者会見し、「小選挙区も同時に減らすべきだ。(比例削減を)特定政党間だけで決めるのは極めて乱暴だ」と自民と維新を批判した。

【時事通信社】 〔写真説明〕日本外国特派員協会で記者会見する公明党の斉藤鉄夫代表=20日、東京都千代田区

2025年10月21日 07時02分


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