
【慶州(韓国)時事】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は30日午前11時(日本時間同)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開催地の韓国で会談する。両氏の対面は2019年6月の大阪以来で、第2次トランプ政権発足後初めて。両国間の懸案である関税やレアアース(希土類)を巡る通商・貿易問題が焦点となる見通しだ。
トランプ氏は29日、「習氏との会談は素晴らしいものになるだろう。多くの問題が解決される」と話した。中国外務省は同日、会談が韓国南東部・釜山で開催されると発表。韓国メディアによると、釜山の金海空港で行われる。30日には習氏が韓国入りする一方、トランプ氏はAPEC首脳会議に出席せず出国。両首脳の日程を考慮し、空港で会うことにしたとみられる。
今年1月のトランプ氏の大統領就任後、米中は一時100%を超える高関税をかけ合い、通商摩擦が激化した。5月から閣僚級貿易協議を開始し、関税の大幅引き下げで合意。このうち一部関税については、引き下げ期間を延長させてきた。
今月25、26両日、マレーシアで実施した閣僚級貿易協議では、対中追加関税の発動回避や中国によるレアアース輸出規制の緩和を目指し、首脳会談に向けた「枠組みが整った」(ベセント米財務長官)としている。30日の首脳会談では、関税の引き下げや、合成麻薬「フェンタニル」の米国流入阻止へ向けた協力など、緊張緩和へ向けた合意が演出されるもようだ。
中国人民大の時殷弘教授は、米中間の貿易不均衡やレアアースを巡る問題は「真に構造的なもの」で、根本的な解決は容易ではないと指摘。「中国側がレアアースの輸出規制を延期すれば、(米国への)大きな譲歩だ」と語った。
米側からは、中国が購入を停止してきた米国産大豆の輸入正常化も求める方針。トランプ氏は、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業売却についても、最終的な合意が成立する見通しだと話している。中国側からは米国による半導体規制の緩和などを求めていくとみられる。
【時事通信社】
〔写真説明〕中国の習近平国家主席(右)と握手するトランプ米大統領=2019年6月、大阪府(AFP時事)
2025年10月29日 22時33分