初の女性大統領、存在感=就任1年でも高支持維持―メキシコ



【サンパウロ時事】メキシコ初の女性大統領として今月で就任から1年を迎えたシェインバウム大統領が存在感を示している。看板事業として男女格差是正への施策を推進し、安全保障や関税を巡る米国との交渉では強引なトランプ大統領に譲らない姿勢を貫く。科学者として明敏な頭脳から発する言葉で国民に訴え、高い支持率を維持している。

「全ての女性が政府に参加している」。シェインバウム氏は10月5日、政権発足1年を祝うイベントで、首都メキシコ市の中央広場に集まった市民に呼び掛けた。就任以来、「マチスモ」と呼ばれる男性優位の伝統的な価値観からの脱却に向け、女性全体との一体感を演出した。

具体的には政権発足時に「女性相」を新設。女性の実質的な平等や賃金格差解消を盛り込んだ憲法改正を実現した。女性の家庭内などでの労働に報いるために60~64歳を対象に特別年金を支給する制度も創設した。

トランプ氏から高関税をてこに合成麻薬「フェンタニル」や不法移民の流入阻止で難題を突き付けられたが、対米批判は封印。巧みな交渉で関税の影響を最小限にとどめた。米軍によるメキシコ領内での活動など、国家主権を損ないかねない問題は断固として拒否。トランプ氏も「あなたはタフだ」と感心していた。

調査会社エンコルによると、シェインバウム氏の支持率は政権発足以来75%を割り込んだことがなく、10月時点では78%を維持している。地元銀行は調査報告書で「国民はトランプ氏による干渉に懸念を示し、シェインバウム氏によって守られていると感じている」と分析している。

【時事通信社】 〔写真説明〕就任1年を祝う集会で演説するメキシコのシェインバウム大統領=5日、メキシコ市(AFP時事)

2025年10月25日 14時32分


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