
政府が各省庁のインテリジェンス(情報活動)を統括する「国家情報局」を来年7月にも設置する方向で調整していることが5日、分かった。高市政権が目指すインテリジェンス改革の第1弾として、来年1月召集の通常国会に関連法案を提出し、成立を図る。複数の政府・与党関係者が明らかにした。
情報局は既存の内閣情報調査室(内調)を格上げする形で創設し、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁などの情報部門が持つ情報を集約する。外交・安全保障政策の司令塔である国家安全保障局と同格とし、各省庁に情報提供を指示する権限を持たせる方針だ。
現在の内閣情報官の後継ポストとなる「国家情報局長」が情報局を率いる。従前の内閣情報会議は首相や関係閣僚が加わる「国家情報会議」に改め、情報局が事務局を担う。政府は同会議の設置を含めた法案を近く取りまとめる方針だ。
自民党と日本維新の会の連立合意書は、2026年通常国会での情報局創設などを明記。27年度末までの「対外情報庁(仮称)」や情報要員養成機関の創設、スパイ防止関連法の「速やかな成立」も盛り込んでいる。
自民党は小林鷹之政調会長を本部長とする「インテリジェンス戦略本部」で(1)司令塔機能の強化(2)対外情報収集能力の強化(3)外国からの干渉を防ぐ体制構築―の3点を議論している。このうち司令塔強化の議論を急ぎ、来年1月にも政府に提言する。
政府・与党はスパイ防止関連法として、外国の代理人が日本国内で活動する場合に登録を義務付ける「外国代理人登録法」などの国会提出も検討している。ただ、スパイ防止関連法には「監視強化につながる」といった懸念があり、慎重に調整を進める方針だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=5日午前、東京・永田町
2025年12月05日 19時10分