
今国会の最優先課題だった2025年度補正予算案成立のめどが立った。高市早苗首相は国民民主、公明両党から賛成を取り付け、終盤国会の第一関門をクリアした。ただ、日本維新の会が重視する衆院議員定数削減法案の審議は暗礁に乗り上げており、17日の会期末に向けてなお難題が待ち受ける。
「ありがとうございます」。首相は11日の衆院本会議後、維新の控室を訪問。予算案の衆院通過に謝意を伝えたが、維新の藤田文武共同代表は「お元気そうですね」と応じただけだった。
予算案は首相が最重視する物価高対策・成長戦略の裏付けだ。自民は11月下旬、無所属議員3人を会派に引き入れて与党として衆院の過半数を回復したが、参院では過半数に6議席届かず、野党と「部分連合」を形成できるかが焦点だった。
政府・与党は首相の意を受け、国民民主がかねてこだわるガソリン税の暫定税率廃止法の成立などに協力。公明が主張する現金給付も予算案に盛り込み、両党に連携を呼び掛けた。こうした「工作」の結果、国民民主は予算案に賛成。公明は立憲民主党と一部共闘しつつも賛成票を投じた。
首相が維新に先立って国民民主の控室を訪れると、玉木雄一郎代表は「引き続きよろしくお願いします」と笑顔を見せた。自民幹部は「通常国会も今国会と同じ流れになる」と26年度予算案の審議に向けて自信を示した。
とはいえ、今国会の難題が全て片付いたわけではない。定数削減法案は審議入りのめどすら立っていない。予算案対応がばらばらだった野党は定数削減法案を巡っては結束。自民は11日も定数削減法案を衆院政治改革特別委員会に付託するよう重ねて求めたが、立民などは企業・団体献金見直し法案の審議が先決だとして応じなかった。
「茶番劇だ」(吉村洋文代表)といら立ちを募らせる維新は、強引にでも献金見直し法案の採決に踏み切るよう自民に要求。会期が足りなければ会期延長を検討すべきだとの声も上がる。しかし、自民はいずれにも慎重姿勢を崩しておらず、維新の不満の矛先は自民に向かいつつある。
藤田氏は11日の党会合で「時間切れの雰囲気が自民も含めて出ているのは腹立たしい」と語った。
ただ、自民、維新の連立政権合意書は定数削減法案について「臨時国会に提出し、成立を目指す」としか記していない。手詰まり感が漂う中、維新内には「成立できなくても連立離脱の必要はない」との声が漏れ始めている。吉村氏は11日夜のラジオ番組で、連立離脱の可能性を問われ、「そんなに軽い気持ちで連立していない。首相は約束を守り、自民をまとめてくれた」と慎重な姿勢を示した。
【時事通信社】
〔写真説明〕衆院本会議で2025年度補正予算案が可決され、起立する高市早苗首相(前列右)ら=11日午後、国会内
〔写真説明〕衆院本会議で2025年度補正予算案が可決され、日本維新の会の藤田文武共同代表(左)へあいさつに訪れた高市早苗首相=11日午後、国会内
〔写真説明〕衆院本会議で2025年度補正予算案が可決され、国民民主党の玉木雄一郎代表(左)へあいさつに訪れた高市早苗首相=11日午後、国会内
2025年12月12日 07時08分