
再審制度の見直しを検討する法制審議会(法相の諮問機関)部会が16日に開かれ、法務省がこれまでの議論を踏まえた素案を示した。再審請求審での証拠開示の範囲や、再審開始決定に対する検察官の不服申し立ての禁止といった主要論点では認識の隔たりが大きいため、両論を併記。証拠開示を巡っては一定の前進があった一方、対立点は依然残った。意見集約はなお見通せない。
弁護士の委員らは部会に先立ち、素案について「議論を十分に反映していない」「論点設定が恣意(しい)的だ」と法務省に強く抗議。これを受けて部会直前に、素案の表題が「意見の集約に向けたたたき台(案)」から「今後の議論のための検討資料」に差し替えられた。
部会では、再審請求手続きで検察側が保有する証拠について、裁判所が必要性や弊害を考慮した上で提出を命じることを義務付ける新たな規定を設ける方針で一致した。開示範囲を巡っては、再審請求理由に関連する証拠に限定するA案と、これに加えて「一定の類型」の証拠も対象とするB案が示されたが、A案を軸に検討を進める方向となった。
再審開始決定に対する検察官の不服申し立てについては、禁止するA案と、現状通り認めるB案の両論を並べた。再審に関与する裁判官についても、通常審や再審請求審に関わった裁判官を審理から外す除斥規定を設ける案と、設けない案を記した。
【時事通信社】
〔写真説明〕法務省=東京都千代田区
2025年12月16日 18時31分