山上被告に無期判決=「生い立ち、大きく影響せず」―安倍元首相銃撃・奈良地裁



奈良市で2022年、参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相を手製銃で殺害したとして、殺人罪などに問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の判決が21日、奈良地裁であった。田中伸一裁判長は「犯行は卑劣で極めて悪質。殺人の意思決定に生い立ちが大きく影響したとは言えない」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。

被告は殺人罪を認めており、刑の重さが最大の争点だった。弁護側は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る不遇な生い立ちが「宗教的虐待」に当たるなどとして、最長でも懲役20年にとどめるべきだと主張していた。判決後、弁護側は「控訴するかは被告と協議した上で判断する」とコメントした。

判決は、事件の背景に被告の不遇な生い立ちがあることは否定できないとした上で、「安倍氏には何ら落ち度は見当たらず、犯行は短絡的で自己中心的な意思決定に基づくものだ」と指摘。教団への怒りから殺害に及んだ経緯には「飛躍があり、酌むべき余地は大きくない」とした。

さらに「約300人もの聴衆が密集する現場で、手製銃を2回発射しており、極めて危険で悪質な犯行。公共の静穏や安全が大きく侵害された」と非難。手製銃の準備期間が約1年半の長期間にわたっていたことから計画性は高いと判断した。

弁護側は、被告が作製した銃は銃刀法上の「拳銃等」には該当しないとも訴えていたが、判決は「人を殺傷するに足る威力があった」と退けた。

昨年10月から約3カ月に及んだ公判では、被告の母親や妹が弁護側証人として出廷。被告人質問は5回にわたって行われ、被告は「(教団に)一矢報いるのが自分の人生の意味だと思った」と語り、安倍氏を狙ったことは「間違いだった」とも述べた。

判決によると、被告は22年7月、奈良市の路上で安倍氏に向けて手製銃を至近距離から2回発射し、失血死させるなどした。





◇判決骨子

一、背後から襲撃した犯行は卑劣で、極めて悪質。公共の静穏や安全を大きく侵害し、生じた結果も重大だ

一、被告の生い立ちが事件の背景や遠因になったことは否定できないが、大きな飛躍があり、生い立ちの影響を大きく認めることはできない

一、動機や経緯について酌むべき余地は大きくない。結果の重大性を十分認識していると言えず、十分な反省が認められない

一、被告が作製した手製銃は人を殺傷するに足る威力があった。



◇安倍元首相銃撃事件後の主な動き 2022年

7月8日

安倍晋三元首相が銃撃され死亡

8月





警察庁が警護を巡る検証報告書公表。同庁長官と奈良県警本部長が辞意

9月





安倍元首相の国葬











自民党、党所属国会議員のうち

180人が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と接点と公表 12月





旧統一教会問題を受けた不当寄付勧誘防止法成立。厚生労働省が「宗教2











世」への虐待に関する対応指針を作成 2023年 10月





文部科学省が旧統一教会の解散命令を東京地裁に請求 2025年

3月





東京地裁、旧統一教会に解散を命じる決定。教団側は翌月即時抗告 10月





山上徹也被告、奈良地裁での初公判で殺人罪認める 12月





検察側、無期懲役を求刑 2026年

1月





山上被告に無期懲役の判決。

【時事通信社】 〔写真説明〕安倍晋三元首相銃撃事件の裁判員裁判で判決理由を聞く山上徹也被告=21日午後、奈良地裁(イラスト・松元悠氏) 〔写真説明〕安倍晋三元首相銃撃事件の判決で、奈良地裁に入る山上徹也被告を乗せたとみられる車=21日午後、奈良市

2026年01月21日 23時26分


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