
安倍晋三元首相銃撃事件では、宗教団体の信者を親に持つ「宗教2世」の被害に注目が集まった。2世のための支援窓口の設置や啓発活動などは十分に進んでおらず、専門家は「支援体制を点検し続けることが重要だ」と訴える。
事件を受け、厚生労働省は自治体や児童相談所向けの対応指針を作成し、宗教活動の強制などは児童虐待に当たると明示した。悪質な寄付勧誘行為を禁止する不当寄付勧誘防止法が成立したり、日本司法支援センター(法テラス)に「霊感商法等対応ダイヤル」が設置され、2世の相談を受け付けるようになったりもした。
ただ、「宗教2世問題ネットワーク」代表の団作さん(仮名)は、「宗教」という言葉が名称に入った相談窓口の設置や啓発ポスターの作成など、2世が相談しやすい環境づくりが進まない現状に、「問題が忘れられてしまう」と危機感をあらわにする。
親に衣食住の面倒を見てもらう状況を脱しないと自分の人生を確立できないとし、未成年でも自立した生活を送るための制度をつくるなど、実態に即した議論を求めた。
塚田穂高・文教大教授(宗教社会学)は「不当寄付勧誘防止法が成立するなどの成果はあったが、見直しを求める声がないがしろにされている」と指摘。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)だけではなく多様な2世に対するヒアリングなどを基に、「持続的な改善によって有効性を高めていくべきだ」と話した。
また、子どもが多くの時間を過ごす学校でも、教員らが「宗教2世の問題は人権問題」との理解の下で対応できるように継続的な研修などを行う体制が必要との考えを示した。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに答える「宗教2世問題ネットワーク」代表の団作さん(仮名)=9日、東京都内
2026年01月21日 20時30分