
首都圏の工作機械関連会社の営業秘密を漏えいしたとして、警視庁公安部は20日、不正競争防止法違反(営業秘密の開示)容疑で、いずれも30代の在日ロシア通商代表部の元部員の男と、同社元社員の男を書類送検した。元部員は「ロシア対外情報庁」(SVR)で科学技術情報の収集を担う「ラインX」のメンバーとみられ、昨年3月に出国したという。
SVRは旧ソ連の国家保安委員会(KGB)が分割されて設立された国際諜報(ちょうほう)を担う情報機関。ウクライナ戦争が継続する中でも、他国で先端技術などの獲得を狙って活発に活動する一端が明らかになった。
送検容疑は2024年11月と昨年2月、不正な利益を得る目的で、工作機械関連会社の製品の開発アイデアなど営業秘密に当たる情報を2回、口頭で教えた疑い。
口頭による営業秘密の漏えいを立件するのは異例だが、警視庁は同社が保有する先端技術には軍事転用可能なものも含まれており、そうした情報が流出する前に摘発することが重要と判断したとみられる。
同庁は今月9日、外務省などを通じ在日ロシア大使館に元部員の出頭を要請したが回答はない。
捜査関係者によると、元部員は23年4月の来日直後、ウクライナ人を装い、道を尋ねるふりをして元社員に接触。「お礼がしたいからまた会いましょう」などといって、定期的にファミリーレストランなどで面会を重ねた。元社員は営業部門を管理する役職で、当初は製品カタログや説明書、商談や社内研修の資料を渡していた。
面会は約10回に及び、情報の見返りとして飲食接待や総額約70万円の現金を受け取るなどしたとみられる。
【時事通信社】
〔写真説明〕在日ロシア通商代表部=13日、東京都港区
2026年01月20日 17時10分