コメ輸出拡大も農家「複雑」=日米合意半年、円安逆風



日米関税交渉の合意から半年。関税引き下げで折り合う一方、日本は米国によるコメ輸出拡大を受け入れた。米国のコメ農家は新たな商機に期待を寄せるが、足元の円安など懸念の声も同居している。

◇高揚感

昨年12月、南部ルイジアナ州ニューオーリンズ。全米からコメ産業関係者が集まり、市場動向や生産技術などの議論が交わされた。対日輸出拡大への高揚感が漂っていた。

「新たな機会に非常に期待している」。30年以上西部カリフォルニア州でコメ農家を続けるニコル・バンブレックさんは対日輸出拡大に意欲を見せる。「米国は日本と長年、コメ貿易で関係を築いてきた。日本はこれからも非常に良い市場だ」。

米政権に高関税を突き付けられた日本は、「コメを買おうとしない」(トランプ大統領)との圧力も受け、「聖域」とするコメ市場開放をのんだ。

昨年7月の合意では、無関税で輸入するミニマムアクセス(最低輸入量)枠内で、米国からの輸入分を75%拡大。飼料・加工用として輸入する米国産は約4割から約7割に増える。

◇競争力

コメの高止まりが続く日本では、割安な米国産を活用した商品が広がり始めた。物価上昇が家計を圧迫する中、国産米からシフトして価格を抑える取り組みだ。

だが、足元の円安・ドル高基調は、米国のコメ輸出に価格面で不利に働く。アナリストのジム・ウィースマイヤーさんは「米国の農家はドル安(円高)を望んでいる」と語る。

米国内のコメ価格は近年下落。バンブレックさんは「米国の農家は、価格低迷と高い生産コストに苦しんでいる」と打ち明ける。それだけに、対日輸出拡大は大きなチャンスだが、ウィースマイヤーさんは「疲弊した農家が少なからずいる」と指摘。輸出拡大に向けた資金面での懸念を示す。

日本向けの主要産地の同州では近年、記録的な干ばつが相次ぎ、2022年には作付面積が大きく減少。不安定な供給量への不安は尽きない。同州で半世紀にわたりコメ農家を続けるマイケル・ルエさんは「現在は回復しているが、生産量を増やす余裕はない」とこぼす。

それでも、「われわれのコメに関心のある消費者にアクセスできる機会には、常に興味がある」と対日輸出に前向きだ。「品質の高いコメを輸出する準備はできている」と力を込めた。

【時事通信社】 〔写真説明〕米カリフォルニア州のコメ農家ニコル・バンブレックさん(中央)(同氏提供) 〔写真説明〕インタビューに応じるアナリストのジム・ウィースマイヤーさん=2025年12月、米ルイジアナ州 〔写真説明〕インタビューに応じるカリフォルニア州の農家マイケル・ルエさん=2025年12月、米ルイジアナ州

2026年01月25日 07時03分


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