
【ニューヨーク時事】米国とイスラエルによるイラン攻撃が長期化し、原油相場が一段と急騰すれば、世界的な景気後退に陥る恐れがあるとの見方が浮上している。原油高はガソリン価格や輸送費などの上昇を招き、インフレが消費低迷につながるためだ。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物は、攻撃開始前の1バレル=67ドルから、3日に一時78ドル近くに上昇。金融市場では過去のケースを踏まえ、「100ドルの水準が続くと世界の株式市場に本格的な打撃となる」(日系証券)との声が聞かれる。
原油はリーマン・ショック前の2008年7月に史上最高値の147ドルに達した際や、中東で民主化要求運動「アラブの春」が起きた10年代前半、ロシアのウクライナ侵攻が始まった22年に100ドルを超えた。いずれもその後に米株価が急落し、原油高との関連性が指摘されている。
現状では市場は情勢の行方を注視し、原油は70ドル台にとどまる。ただ、英調査会社オックスフォード・エコノミクスの主任グローバル・エコノミスト、ライアン・スイート氏は、戦況見通しの変化などで「市場心理は瞬時に変わり、価格は急騰し得る」と強調。さらに、戦闘が2~3カ月続けば150ドルの水準に達し、「景気後退を引き起こす可能性がある」と警鐘を鳴らす。
混乱継続を予想する専門家も。米シンクタンク、ブルッキングス研究所のマロニー副所長は米テレビのインタビューで「紛争がすぐ終わると楽観していない」と説明する。イラン指導部は体制存続のためには周辺国の都市の「壊滅もいとわない」と語り、世界経済への影響は1年以上続くと分析する。
エネルギーを輸入に頼る日本は、シェールオイルを生産する米国などよりも原油高が重荷となる。その上、「有事のドル買い」を背景とした円安・ドル高基調もドル建ての原油購入コスト押し上げにつながるため、一層の打撃となりそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕4日、米西部カリフォルニア沖に停泊中の原油タンカー(AFP時事)
2026年03月05日 22時02分