日本政府「頭の体操」急ぐ=タンカー護衛、米要請備え



トランプ米大統領がホルムズ海峡で石油タンカーを護衛する方針を打ち出し、日本政府は支援を要請された場合にどのような対応が可能か検討を急ぐ。自衛隊を派遣するにしても法的根拠が必要で、できることは限られる。英国やフランスが情勢安定のため地中海に艦船を送っていることもあり、高市早苗首相は難しい判断を迫られそうだ。

木原稔官房長官は4日の記者会見で、今後の対応を問われ「関係省庁と連携し、関係業界とも緊密に連絡を取りながら、情報収集などに努めている」と述べるにとどめた。

根拠法として政府内で取り沙汰されるのは安全保障関連法だ。放置すれば日本の平和と安全に重要な影響を与える状況を「重要影響事態」と規定。地理的制限はなく、他国の軍隊に弾薬の提供や給油ができる。外務省関係者は「あくまで頭の体操」と断った上で、「できるとしたら重要影響事態だ」と指摘した。

関連法はまた、密接な関係にある他国が武力攻撃を受け、日本の存立が脅かされる場合を「存立危機事態」と定義。集団的自衛権の行使が可能になる事態で、認定には閣議決定と国会承認が必要になる。ただ、「存立危機の段階ではない。ホルムズ海峡の封鎖くらいで国民生活が立ちゆかなくなるわけではない」(首相官邸関係者)との見方が大勢だ。

2020年には同海峡の安全確保を念頭に、防衛省設置法が定める「調査・研究」活動の一環として護衛艦と哨戒機を送った。だが、自衛隊幹部は「今回はまさに弾が飛び交っている。設置法はそぐわない」と否定的だ。この他、自衛隊法82条の海上警備行動で、日本関係船舶を護衛することも可能だ。

英仏は既に地中海へ空母などを派遣。米国の軍事行動には距離を置きつつ、中東の安定には貢献する姿勢を示す。日本政府内でも「ただ乗りするわけにはいかない」との声が出ている。

一方、「日本はまだ米国を支持すると明言していない。今の状態が戦争なのかどうか、まずは整理が必要だ」(政府関係者)と、派遣論議は時期尚早との声も強い。外務省幹部は「トランプ氏も日本が危険な場所に行けるとは思っていない。支援の要請はないのではないか」と楽観的な見方を示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=4日午前、東京・永田町

2026年03月05日 08時29分


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