再開発、建築コスト高騰で明暗=東京・大阪は追い風、計画白紙の都市も―公示地価



国土交通省が17日発表した2026年の公示地価では、商業地の全国平均は5年連続で上昇した。東京23区や大阪市の商業地は、大規模な再開発事業や旺盛なオフィス需要を追い風に、地価上昇の勢いは引き続き強い。一方、地方主要都市では、上昇率の伸びは鈍化し、建築コストの高騰を賄えない再開発計画を白紙にするケースが表面化するなど、明暗が分かれている。

大阪市の商業地の前年比上昇率は12.7%と前年(11.6%)を上回った。JR大阪駅近くの大規模再開発「グラングリーン大阪」周辺の同市福島区の地点は、18.4%上昇。塩野義製薬などの大手企業の本社が移転してきており、「駅から近く緑も多いため、働きやすさを重視する企業に選ばれている」(開発関係者)という。市内では今後も、カジノを含む統合型リゾート(IR)など大規模プロジェクトが控える。

東京23区の上昇率は13.8%と前年の11.8%から加速した。都心では、新宿駅西口周辺や高輪ゲートウェイ駅周辺などで大規模な整備計画が進行中。再開発が進む渋谷駅周辺の地点では、29.0%の上昇率を示した。

一方、主要都市の札幌、仙台、名古屋、福岡各市の商業地の上昇率は前年からいずれも伸びが縮小した。資材や人件費など建築コストの高騰で、プロジェクトの見直しを迫られるケースも目立つ。JR九州は昨年9月、博多駅の線路上に複合ビルを建設する「空中都市プロジェクト」計画を断念した。名古屋鉄道も昨年12月、名古屋駅前の名鉄百貨店(閉店)が入るビルなどの建て替え工事を巡り、ゼネコン側が人手不足を理由に撤退したと発表。再開発計画が頓挫した。

ただ、東京23区でも都心を離れると例外ではない。中野区の複合施設「中野サンプラザ」の建て替えは事業費増で白紙となり、区は27年度に改めて事業者を公募する。ある開発業者は「この先、都心でも開発が停滞する事態が起こる」と懸念する。

プロジェクトの相次ぐ中止について、不動産協会の吉田淳一理事長(三菱地所会長)は「日本全体で競争力がなくなり、成長戦略にマイナスだ。国全体で危機感を共有してもらいたい」と警鐘を鳴らす。

建築費の高騰に加え、金利の上昇が続けば、ビジネスや観光で人が集まる東京や大阪の中心部に投資が集中し、プロジェクトの選別が一段と進むとみられる。三井住友トラスト基礎研究所の大谷咲太投資調査部長は「建築費高騰でいったん白紙になっても、都市部では賃料上昇を受けて開発再開の動きが出てくるだろう」と指摘している。

【時事通信社】 〔写真説明〕複合商業施設「グラングリーン大阪」の南館(中央)=2025年3月、大阪市北区 〔写真説明〕再開発計画が白紙となった複合施設「中野サンプラザ」=2025年2月、東京都中野区

2026年03月18日 07時06分


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