
銀行の金利上昇などの影響を受け、大学生らに貸与される奨学金の返済利率が上がっている。奨学金は学生の約半数が利用するが、利率上昇で返済総額が100万円以上増えることも考えられる。物価高や学費増も進む中、結婚や貯蓄など将来設計への影響も懸念されており、専門家は「個人ではなく社会全体の問題として考えるべきだ」と指摘する。
日本学生支援機構によると、大学生(昼間部)のうち同機構や企業などの奨学金を借りる割合は2024年度で51.1%。1990年代後半は2割台だったが、10年度以降は5割前後で推移する。
千葉県の会社員女性(32)は大学生時代に同機構から借りた奨学金250万円を返し始めて10年だが、残額はまだ150万円ある。新型コロナ禍の影響で観光業から転職するなどして収入が不安定になり、減額や猶予の制度を利用した。「返済がこんなに大変だと思わなかった。借金だと思うと後ろめたい」とこぼす。
女性が借りた奨学金は無利子だが、家計や成績によっては有利子になる例もある。同機構の奨学金の返済利率は、固定方式の場合、19年度卒業者は年0.07%だったが、25年度卒業者では年2.423%に上昇した。
仮に大学の4年間に月10万円を貸与され、卒業後に総額480万円を20年かけて返す場合、19年度卒業者と比べて総額は約128万円増える計算だ。利率は卒業時に決まるため、借りる時点で返済額は見通しにくい。
東京都内で6月にあった大学合同説明会を訪れた千葉県の高校3年男子は「理系志望だが大学院進学も考えると額が大きくなり、借りるのが心配」と話す。会社員の母親(52)は「奨学金は利率が見通せず不安。利率が分かりやすい銀行の教育ローンについても調べている」と話した。
奨学金問題に詳しい武蔵大の大内裕和教授(教育社会学)は「今春の大卒者は在学中に金利上昇が続いた世代。自己責任と言うのは酷だ」と指摘。同機構によると返済が3カ月以上滞るのは全体の2.6%にとどまるが、大内氏は「返済を続ける大多数の若者がライフプランを描けないことが問題。金利上昇の影響はこれから本格化する。早急な支援措置が必要だ」と訴えている。
【時事通信社】
〔写真説明〕高校生や保護者ら向けに開かれた大学合同説明会=6月21日、東京都豊島区
2026年07月14日 07時05分