
高市政権の発足から21日で1年を迎える。看板政策「責任ある積極財政」が、国債増発とインフレ加速につながるとの懸念から、歴史的な円安と長期金利高騰を誘発した。金融市場の動揺を抑えるため、政権から「財政の持続可能性」を重視する発言も増えた。ただ、市場の信認確保には、年末の予算編成に向け、国債発行の抑制や財源確保など、試練が待ち受ける。
市場は、高市早苗首相が積極的な財政出動と金融緩和で高成長を目指す「リフレ」政策を志向すると受け止め、その経済財政運営に懸念を強めてきた。昨年10月の政権発足時に1ドル=151円台だった円相場は、今年7月下旬に約39年半ぶりとなる164円目前まで急落。長期金利の指標となる10年物国債利回りも発足時の1.6%台から9月下旬に約30年ぶりとなる3.115%まで急伸した。
7月に経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」を決定する過程では、日銀の利上げへのけん制と受け止められる原案の記述が、日本国債売りを招く「骨太ショック」にも発展した。
高市政権の経済政策にいら立ちを募らせたのがベセント米財務長官だ。円安・債券安という「日本売り」が米国債売りに波及するのを懸念。日米通貨当局は7月末に28年ぶりとなる協調円買い介入に踏み切った。
日本に救いの手を差し伸べたベセント氏は、その見返りを求めるように、日銀の早期利上げを繰り返し要求。9月1日の記者会見では、日本に対し「リフレ政策を終えるべきだ」と伝えたと説明した。9月22日の日米首脳会談でもトランプ大統領が円安への懸念を表明した。
米国の圧力をかわすため、政権は「リフレ政策」否定に躍起だ。城内実経済財政担当相は「リフレ政策が必要な局面ではない」と軌道修正。首相も臨時国会での所信表明演説で「正攻法で市場の政府に対する信頼を高めていく」と強調した。
来年度予算では消費税減税や成長投資、防衛費増額に巨額の財源手当てが必要となる。政権は新規国債発行額を前年度並みの40兆円程度に抑える方針だが、ハードルは高い。財源確保が進まず、国債増発につながれば、再び市場の洗礼を浴びる恐れがある。
【時事通信社】
〔写真説明〕高市早苗首相=15日、首相官邸
2026年10月20日 08時20分