
【ニューヨーク時事】米中間選挙での野党民主党の躍進を受け、米国や日本の株式市場は強烈な売りに見舞われた。人工知能(AI)の発展を支えるデータセンター建設への規制強化が懸念され、株高を演出してきたAI投資に暗雲が漂っている。市場混乱を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測が後退すれば、米長期金利低下やドル売り圧力につながる可能性もある。
中間選挙では、米有数のデータセンター計画を抱える南部テキサス州の知事選で、建設の一時停止を掲げる民主党のイノホサ氏が大番狂わせで当選。同州では上院選で勝利した民主党のタラリコ氏も規制を訴える。他に建設が多い中西部オハイオ州や南部ジョージア州の知事選などでも規制推進派の民主党候補が選ばれた。
AIの開発や運用には、膨大な計算を処理する大規模データセンターが不可欠なインフラとなっている。テクノロジー業界に詳しい米投資家のダニエル・アイブス氏は中間選挙を受け、「全米で計画されていた800~1000のデータセンターは建設ペースが鈍化する」と指摘。さらに、計画の10%は実現に至らないとも予想した。
AIの先行き不安から、ニューヨーク株式市場ではハイテク株中心のナスダック総合指数が5日に5.5%急落。6日はやや反発したが、1カ月前に付けた史上最高値から10%超下落し、「調整局面」入りしている。日経平均株価や韓国の総合株価指数(KOSPI)なども中間選挙後に大幅安となった。
こうした環境下でFRBは利上げに慎重になり得る。野村インターナショナルのシニア為替ストラテジスト、宮入祐輔氏は「12月会合での利上げは市場で強く織り込まれており、行うだろうが、来年様子を見る状況になれば、相場はドル安方向に傾く」と語る。
もっとも、米経済の成長エンジンとなってきたAI投資は減速はしても、近い将来に消滅すると見る向きは少ない。市場では規制論議が実際にどれだけ政策に反映されるかに注目が集まっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕米中西部オハイオ州で建設中のデータセンター=10月17日(AFP時事)
2026年11月08日 07時47分