新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が7日にも発令される。経済界は在宅勤務の強化などを通じて協力する方針だ。電気やガス、金融サービス、食品スーパーといった生活インフラを支える企業は業務継続への準備を急いでいる。一方、消費の落ち込みで日本経済への深刻な影響が懸念され、経済損失は5.7兆円に上る恐れがある。
経団連の中西宏明会長は6日の記者会見で、宣言について「政府が判断すれば、官民が力を合わせて対処していく」と強調。「会社で顔を付き合わせるだけで危険にさらされる」と述べ、在宅勤務拡大など感染防止の徹底を会員企業に呼び掛けた。
宣言は東京、大阪、福岡など状況が深刻な7都府県が対象で、期間は1カ月。発令されれば、各知事は法律に基づく外出自粛や多数の人が集まる施設の利用停止を要請・指示できる。欧米のような罰則を伴う強制力はないが、従来以上に外出自粛の動きが広がる見通しだ。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、7都府県への1カ月間の発令で、国内総生産(GDP)は約5.7兆円押し下げられると試算。「長期化すればさらに損失は膨らむ可能性があり、継続的な対策が必要だ」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する中西宏明経団連会長=6日午後、東京都千代田区の経団連会館
2020年04月06日 22時19分