8月28日のパリ・パラリンピック開幕まで、20日であと100日。日本パラリンピック委員会(JPC)の河合純一委員長(49)が時事通信のインタビューに応じ、2021年に開催された前回の東京大会からのパラスポーツの環境変化、パリ大会への期待などについて語った。
―東京大会後、共生社会実現に向け「知る」という第1段階をクリアしたと話していた。現在の状況は。
そういう部分は大いにあったが忘れやすい。知るだけじゃなく行動に移すことで地に足が着いてくる。次のステップに早く進めるような施策、アプローチが必要。
―大会に寄せられる関心には波がある。
パラリンピックそのものを知ってもらうことがゴールではない。障害のある方々も含め、誰もが自分らしく生きられる社会を共生社会とわれわれは定義している。そういった社会をつくることに寄与できれば。
―多様性のある社会にするには。
単に多様性を広げても、自分らしく生きられる社会にならない。重要なのはグループや組織の中における心理的安全性。それを持ちつつ、パラスポーツに関わった人たちがいろいろな組織に関わることで(共生社会を)つくり上げられないかというチャレンジをしている。
―東京大会後、アスリートを取り巻く環境に変化は。
トップの選手たちは引き続き、より良い環境を維持できていると思う。地域の活動はまだ十分とは言えないし、育成などの段階のことを思うと、まだまだやらなきゃいけないことは大いにある。
―パリ大会の意義は。
東京大会からのレガシー継承だと思う。そこでつくり上げられてきたいろんなシステムとかが、やっと花開いてくる段階。東京大会で得た成果や課題を生かして、次の(28年の)ロサンゼルス大会に向かう体制をどう整えていくのかというところ。
―選手発掘プロジェクトの手応えは。
いいサイクルができつつあると同時に、競技によってはまだまだ十分なリソースが割けず、発掘すれど(パラ出場の)レベルまで押し上げるに至らないところが課題になっている。
―パリ大会でのメダル数目標は。
メダル数というよりは、メダリストを増やす発想も重要。メダルは物だが、メダリストは人だから無形の価値になる。彼ら、彼女たちが生き続ける限り、それを語り続け継承していくことができる。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに答える日本パラリンピック委員会(JPC)の河合純一委員長=3日、横浜市
2024年05月18日 07時11分