
自民党と日本維新の会は2026年度与党税制改正大綱に、防衛力強化の財源を確保するための所得税増税の開始時期を27年1月とすることを盛り込んだ。所得税額の1%相当を当分の間、上乗せする。当面の税負担増を避けるため、東日本大震災の復興に充てる「復興特別所得税」を同率引き下げて相殺する。ただ、37年を期限としていた復興税の課税期間を10年延長するため、トータルで見ると負担増となる。
政府は現行の「防衛力整備計画」で23年度から5年間の防衛費総額を約43兆円と定めている。この財源確保に向け、23年度税制改正で法人、たばこ、所得の3税を増税する方針を決定。このうち法人税とたばこ税は、25年度税制改正で26年4月からの増税を決めたが、所得税については「年収103万円の壁」引き上げによる減税との整合性がとれないとして判断を見送っていた。
防衛費に関し、高市政権は25年度補正予算に関連経費を含めて約1.1兆円を追加計上。27年度を目標としていた国内総生産(GDP)比2%水準への引き上げを、2年前倒しで達成した。
一方、米国は国際的な安全保障環境の悪化を踏まえ、GDP比5%まで引き上げることを同盟国に要求。与党内では「(防衛費の対GDP比は)3%まで引き上げるべきだ」(自民党幹部)との声も上がる。ただ、さらなる増額となれば財源の確保は難航必至だ。
〔写真説明〕自衛隊観閲式で行進する陸上自衛隊の隊員=2024年11月、陸上自衛隊朝霞訓練場(EPA時事)
2025年12月19日 22時18分