
政府高官が「日本は核(兵器)を保有すべきだ」と発言したことを受け、野党は19日、高市早苗首相に罷免を要求した。政府は「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を維持する姿勢を強調。世論の反応も見極めつつ、沈静化を目指す構えだ。
立憲民主党の野田佳彦代表は記者会見で、「持ち込ませず」の見直しが持論の首相が、三原則堅持を明言していないと指摘。「こうした考えを持つ方が首相の側にいるのは問題がある。早急にお辞めいただくのが妥当だ」と訴えた。斎藤嘉隆参院国対委員長は更迭を求めた。
被爆地・広島市を地盤とする公明党の斉藤鉄夫代表は記者団に、「罷免に値する重大な発言だ」と批判。共産党の田村智子委員長も「断じて許されない。直ちに罷免すべきだ」と指弾した。首相に対し「『三原則を国是として厳格に守ります』と表明すべきだ」と迫った。
これに対し、木原稔官房長官は会見で、高市政権は「非核三原則を堅持している」と繰り返し言及。核保有発言に対する見解や、高官の進退についてはコメントしなかった。
自民党でも中谷元・前防衛相が「政府の立場で個人的な意見を軽々に言うのは控えるべきだ」と非難。首相に「しかるべき対応」を求めた。
ただ、同党の河野太郎元防衛相は「核兵器を保有した場合のメリット、デメリットを議論して結論を出せばよい」とX(旧ツイッター)に投稿。議論そのものをタブー視する風潮を批判した。現段階で、自民内の進退論は限定的だ。
高官は18日、記者団に、日本周辺の安全保障環境の急速な悪化を理由に核保有の必要性を主張した。
【時事通信社】
〔写真説明〕閣議に臨む高市早苗首相(中央)=19日午前、首相官邸
〔写真説明〕政府高官が「日本は核を保有すべきだ」と発言したことについて、取材に応じる公明党の斉藤鉄夫代表=19日午前、国会内
〔写真説明〕記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=19日午後、国会内
〔写真説明〕記者団の取材に応じる自民党の中谷元・前防衛相=19日午前、東京・永田町の同党本部
2025年12月19日 18時49分