
【ソウル時事】韓国は日本主導の「包括的および先進的な環太平洋連携協定(CPTPP)」加入を目指し、13日に奈良県で行われる李在明大統領と高市早苗首相の首脳会談でも協議したい考えだ。韓国政府の助言役を務める李昌※(※王ヘンに文)韓国外大教授は「米中への貿易依存度が高く、中堅国との連携強化や供給網の安定化を狙っている」として、カギとなる日本の支持に期待を示した。
韓国での加入議論は米中対立が深まる中、文在寅政権時に本格化したが、日本の支持獲得が課題となっていた。しかし、尹錫悦政権で日韓関係が改善。トランプ米政権の高関税政策の影響もあり、李在明政権は加入の動きを加速させている。
加入すれば、韓国は日本やメキシコといった自由貿易協定(FTA)未締結国との間でも関税が優遇され、FTAに近い効果が期待できる。日韓は「地域的な包括的経済連携(RCEP)」にも参加するが、李教授は「RCEPは基礎工事、CPTPPは精密な設計図に例えられる」と表現。関税撤廃率が95%以上というCPTPPの市場開放度の高さを強調した。
対外経済政策研究院は、加入で韓国の実質GDP(国内総生産)は0.33~0.35%増加すると試算。原材料だけでなく生産工程も含めて関税優遇が受けられ、供給網の効率や安定性が高まり、企業のデジタル分野の競争力も向上するとみられる。
加入には加盟12カ国の合意が必要で、李教授は「日本の支持獲得が最も重要になる」と分析。日本側も自由貿易秩序の再構築につながり、化学、素材製品の輸出に効果が期待されるという。
一方、日本が求める東京電力福島第1原発事故後の一部水産物の輸入規制解除を巡っては、国民感情への配慮が課題。米国産牛肉輸入問題で大規模な抗議デモが起きた前例があり、李教授は「国民が安心できる形で段階的に開放する必要がある」と説明する。農業団体などの反発も予想され、情報公開の透明性や影響を受ける生産者への支援策の検討も必要になる。
李教授は、半導体分野で素材や装置に強みを持つ日本と、量産技術に優れる韓国の協力や人工知能(AI)インフラでの連携の強化を期待する。ただ、軍事転用可能な技術や重要鉱物の調達は経済安全保障に関わり、欧州連合(EU)並みの信頼関係構築が必要になると強調した。
〔写真説明〕取材に応じる李昌※(※王ヘンに文)韓国外大教授=2025年12月、ソウル
2026年01月11日 07時04分