
米政府が発表した新たな対日関税措置を巡り、日本の企業トップからは24日、世界経済への影響や予見可能性が極めて低いトランプ大統領の政策への懸念が相次ぎ示された。高関税政策に振り回される中、世界に広がり複雑化したサプライチェーン(供給網)の見直しなどで耐性を高める必要があるとの声が上がった。
「われわれが投資し、米製造業復活に貢献しようとしているのに、やや理不尽ではないか」。巨額買収したUSスチールに対して2兆円を超える投資を計画する日本製鉄の橋本英二会長はこう、不満を漏らした上で、「世界の製造業にとっては大変大きな打撃だ」と指摘した。
新関税は、相互関税を無効とした司法判断を受けて米政府が講じた時限措置に代わり発動。強制労働により生産された製品の輸入禁止措置に不備があるとして、既存関税率との合計で上限12.5%の関税率を適用するものだ。
失効した時限措置は既存関税率に10%を上乗せする仕組みだったため、新関税は一部品目で関税負担を減らす可能性がある。ただ、企業経営者が嫌うのは二転三転するトランプ政権の関税政策だ。富士通の時田隆仁社長は「(米国の政策は)ころころ変わる」と話した。その上で、企業は変化に対応できる「強靱(きょうじん)性の獲得に注力すべきだ」と強調した。
日立製作所の東原敏昭会長は、北米や欧州、アジアなど地域ごとの供給網を構築してきたことで同社には「大きな影響はない」と指摘。「各社もそれぞれ強靱性向上を考えていると思う」と話した。
一方、住友商事の兵頭誠之会長は日米交渉で合意した5500億ドル(約90兆円)の対米投融資に言及し、「日米双方の利益になるよう仕上げていくのがビジネス界の役割だ」と語った。
〔写真説明〕トランプ米大統領=22日、ジョージア州マリエッタ(AFP時事)
2026年07月24日 22時00分