欧州で夜行列車復活の兆し=新興企業が存在感



【ブリュッセル時事】高速鉄道の普及や格安航空の台頭で一時衰退した欧州の夜行列車が息を吹き返しつつある。眠っている間に移動できる利便性や環境負荷の低さに改めて注目が集まる中、新たな国際路線を開設する動きが活発化。国鉄に加え、新興企業も復活の担い手として存在感を高めている。

「ぐっすりと眠れた」。9月10日正午すぎ、イタリア北部ミラノから19時間余りの旅を終え、ベルギーのブリュッセル南駅に降り立ったカナダ人の大学生ナオミー・バシャンさん(23)は疲れのない様子だった。友人のレア・バラードさん(24)との旅行で鉄道を選んだのは「飛行機より環境に優しく、費用も抑えられたから」。とりわけ夜行列車は「到着した日を一日存分に楽しめる」と魅力を語った。

2人を運んできたのは、オランダに本社を置く新興鉄道会社「ヨーロピアン・スリーパー」が9日に運行を始めたミラノ―ブリュッセル線だ。同社は2023年にブリュッセル―ベルリン線を開設し、翌年にプラハまで延伸。今年3月にはパリ―ベルリン線に参入するなど、路線網を急速に拡大してきた。今後はブリュッセルを起点に、北欧のコペンハーゲンなどや、南欧のバルセロナに向かう路線も計画している。

民間のみならず、オーストリア国鉄は23年以降、ウィーンとアムステルダムなどを結ぶ路線に新型夜行列車を順次導入。ポーランド国鉄も昨年12月、同国南部からプラハなどに向かう夜行列車を新設した。目的地への速さだけでなく、旅の過程そのものを楽しむ「スロートラベル」への関心の高まりも、夜行列車人気を後押ししている。

ただ、復活への道のりは平たんではない。フランス国鉄などが運行していたパリ―ウィーン線は、仏政府の補助金打ち切りを受けて昨年12月に廃止。ヨーロピアン・スリーパーのミラノ―ブリュッセル線も、線路工事や認証手続きの影響で開業が約3カ月遅れた。同社の共同創業者エルマー・ファンビューレン氏は、車両の調達資金や各国での運行枠の確保などを課題に挙げながらも、夜行列車の人気は「一時的な流行ではなく、構造的な動きだ」と強調。再び欧州の有力な交通手段になり得ると自信を示した。

〔写真説明〕ミラノ―ブリュッセル線の夜行列車を利用したカナダ人の大学生ナオミー・バシャンさん(右)と友人のレア・バラードさん=10日、ブリュッセル 〔写真説明〕ミラノ―ブリュッセル線の夜行列車開通イベントで記念撮影するヨーロピアン・スリーパー共同創業者のエルマー・ファンビューレン氏(右から2人目)とクリス・エンゲルスマン氏(左端)ら=10日、ブリュッセル

2026年09月22日 20時32分


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